HOME > 資料集 > 活動と主張(バックナンバー) >
【02.06.30】生命育てる干潟どう守る 藤前干潟保全へラムサール条約登録求める
2002年6月30日 「しんぶん赤旗」
<写真>家族で干潟に入る人たち=名古屋市港区
名古屋市のごみ処分場による埋め立て計画が、3年前、市民の粘り強い運動と日本共産党との共同で中止になった名古屋港・藤前干潟。いま、11月のラムサール条約(注1)締約国会議での登録に向けて大きく動いています。
藤前干潟は、世界有数の渡り鳥のオアシス。シギ、チドリなどの渡り鳥をはじめ多くの鳥が干潟の出現に合わせて移動しながら、エサをついばみます。
市は態度保留
「一日も早く登録を」というのが市民の願いのなか、条約登録に必要な国設鳥獣保護区特別保護地区の設定で、環境省から非公式に19日までに賛否を求められた名古屋市は、態度を保留しました(注2)。
これは与党の民主、自民の議員が「土地買収費57億円を国に負担させるべきであり、これが解決しなければ話に入るな」(民主党、13日、総務環境委員会)と発言、市が57億円で取得したごみ埋立て用地の補償措置や治水事業を優先すべきだと主張しているからです。
こうした動きを心配した藤前干潟を守る会の辻淳夫代表は17日、各市議に登録を積極的に進めるよう要望。「どんなにお金をかけても藤前干潟をつくることはできない。ごみ行政を大転換し、環境先進都市への契機になった」と訴えました。
日本共産党の佐藤典生議員の質問(27)に、松原武久市長は「藤前干潟は本市の貴重な財産で登録の必要性は認識している」と答えました。
埋立て断念を契機に、容器包装リサイクルや空き缶、空き瓶の分別収集などに市民が協力、ごみ減量がすすみました。藤前干潟埋立ての理由に、あと3年しかもたないと説明された岐阜県多治見市の愛岐処分場は15年以上延命する見通し。
二つとも前進
日本共産党市議団は、藤前干潟の全面保全とごみ問題の2つの環境問題の解決へ前進、金額にかえがたい効果を生んだと評価。江上博之幹事長は「干潟保全と治水のあり方や保全方法については、市民の声を聞いて進め、市長はラムサール条約登録に賛成を表明するべきだ」と話しています。
藤前干潟をラムサール条約に登録を実現する愛知女性の会の水野磯子代表はいいます。「藤前干潟は子どもといっしょに自然にふれあえるオアシスです。登録に向けて前へ進むことが市民の気持ちにあうと思います」。(愛知県・北田幸宏記者)
(注1)ラムサール条約は、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地と、そこに生息する動植物の保全を目的にした条約。日本は一九八〇年加盟。登録湿地は千百七十三カ所(二〇〇二年六月五日現在)、国内では琵琶湖(滋賀県)、漫湖(沖縄県)など十一カ所。この二カ所はしゅんせつもしています。
(注2)名古屋市は保留とともに▽国費による施設の整備▽土地取得五十七億円の費用を念頭に買取りを含む財政支援▽治水事業の早期実施の要望書を出しました。