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【02.06.07】稲武町 人家近くにツキノワグマ 林県議が現地調査 生息・行動圏の調査を 共存へ対応策必要

2002年6月13日 「しんぶん赤旗」

  愛知県にツキノワグマが……。日本共産党の林信敏県議は7日、ツキノワグマが人家近くに現れ射殺された同県稲武町の現場付近を視察、太田雅清町長らから話を聞きました。

 

 

<写真>射殺されたツキノワグマ(稲武町提供)
 
 
 

28年ぶり

 ツキノワグマが県内で捕獲・射殺されたのは28年ぶりのことです。

 5月7日午後5時ごろ、同町の男性=林業=が自宅近くの路上で遭遇。自宅に逃げ込み、町役場に通報。県の許可を得て約50分後に同町の猟友会員でもある同男性が近くの木に登っていたところを射殺しました。3歳ぐらいの雄で、体長1・1メートル、体重約50キロほどでした。

 ツキノワグマは愛知県では「絶滅危ぐ1A類」に指定されています。

 同町は岐阜県、長野県に隣接。町の面積の87%が森林です。現場の近くには名古屋市野外教育センターがあります。津具村との境界の、面ノ木峠近くには、ツキノワグマの生息に必要なブナの原生林がありますが、総面積は約31ヘクタールで、十分な広さはないと見られています。


 
 
<写真>射殺された現場を視察する林信敏県議=7日、稲武町
 
 
 

殺さんでも

 林県議が「道の駅」で休憩していると、森林組合で植林や間伐の作業をしているという80歳の男性が「4、5年前、野外教育センターの近くの山で作業中、2頭のクマを見た。津具方面からきたのではないか」と話しかけてきました。「役場の人間はクマのことなどわからん。害を加えたわけでもないのに殺さんでも。“緑の山”にしたのがいかん。四季折々、色が変わる山でないと…。植林の山では動物のえさがない」とも。

 ツキノワグマの胃からは魚の骨やカレーライスがでてきたといいます。人間の残飯だけでなく、植林された山が放置された結果、雑木林化し、クマのえさも増えているのではないか、との意見も聞かれました。

 林県議は「愛知県内の一定の地域もクマの生息・行動圏だとみて、十分な調査と保護、人間との共存のための対応策づくりが必要だ」と話していました。


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