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【02.06.10】きしむ渥美3町合併の動き 住民の暮らしは二の次 “町の恩恵見えてこない” 十分な時間をとった論議を
2002年6月10日 「しんぶん赤旗」
愛知県内で最も早いスケジュールですすめられてきた渥美3町(田原、渥美、赤羽根の3町)の合併の動きが、住民の暮らしがどうなるのかという大事な問題を抜きにすすめてきたため、ここにきて難航しています。(愛知県・板橋幸男記者)
臨時協議会もいまだ開けず
合併推進協議会が昨年10月に発足。新市発足を来年1月と定め、5月28日の10回目の協議会では「渥美郡三町まちづくり計画」(「新市建設計画」)を確認するところまできました。
ところが、28日決めるはずだった新市名は、20人の委員の3分の2以上の得票という条件をクリアできずに、決まりませんでした。3町の議員任期を延長する在任特例案も否決してしまいました。このため6月1日に臨時の協議会を開く予定でしたが、いまだに開くことができません。
6月中に協議会ですべて合意しなければ、来年1月新市スタートには間に合わないといわれ、推進側はきびしい局面に追い込まれています。
なぜ難航しているのか。3町の利害が対立しているだけなのか。日本共産党の河辺正男田原町議は5日の町議会質問で指摘しました。
「一生懸命築いてきた町がなくなり、行政システムが変わるという重大な問題を、10カ月間で決めてしまうことに無理があります。その弊害がいま、町民の不満、疑問として沸騰しているのです」
「合併協議が拙速かって? それ以前の問題ですよ。新市建設計画は、大事な問題をすべて先送り。合併による町の恩恵が見えてこない」。渥美町の保守系町議はこう憤まんをぶちまけます。
トヨタ自動車田原工場が操業し、財政力指数1・42(1999年度〜2001年度の3年度平均。以下同じ)いう全国屈指の“豊かな”田原町。それに比して、農業が中心の渥美町は0・58、赤羽根町は0・34。行政施策の水準格差も目立ちます。そのうえ、大規模温室栽培などで知られる同地方の農業が、輸入農産物の激増、価格低迷で苦境に直面しています。
同議員は「キャベツもキクもコメも安い。税収が見込めない。これで行政が生活基盤を支えられるのか心配だ」と、合併に賛成してきました。しかし、合併で町民のくらしがよくなるのか、これまでの論議からは見えてこないというのです。
本当の狙いは政令市づくり
「新市建設計画」が描くまちづくりの姿はどんなものなのか。農業振興などにも力を入れるとしていますが、河辺町議はこういいます。
「合併の本当のねらいは、将来的には東三河、静岡県湖西地域を視野に入れた政令市づくりです。日本の中心地にあり、物流の拠点にする。伊勢湾口道路建設もそのため。こんな開発優先の間違いは、20世紀ではっきりしているのではないか。来年1月合併は白紙に戻し、住民が十分時間をとって論議し、そのうえで賛否を住民投票で決めるべきです」