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【05.10.16】新段階むかえた市町村合併
住民の立場でどう対応するか
林のぶとし前愛知県議(日本共産党愛知県委自治体部長)に聞く
10月16日「愛知民報」
4月から新合併特例法がスタートし、「平成の大合併」は新段階を迎えています。10月1日に、市町村合併で新しい田原市、新城市、設楽町が発足しました。合併問題の現状と今後の対応について日本共産党愛知県委員会自治体部長の林のぶとしさんに聞きました。
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■財政力向上バラ色ではない
1999年4月1日当時、愛知県内の市町村数は88ありました。合併で来年3月末には64になる見通しです。
町村は46町が27町に、10村が3村に減ります。この合併で、財政力指数0.8以上の自治体が県内で64%を占めるようになり、「財政力の弱いところが合併で強化された」といわれます。
しかし、バラ色でありません。財政力指数のアップは、住民の福祉と利便性の向上、吸収された地域の振興に自動的につながりません。
日本共産党は「平成の大合併」のねらいが(1)地方への国の支出削減(2)ゼネコン向け大型開発創出(3)住民福祉切り捨てにあると指摘してきました。
新自治体で、こういうねらいの表れを許さず、「住民福祉の向上」という自治体本来の使命を果たすように求める運動が必要です。
■新自治体で新たな活動
愛知の日本共産党は、住民の意向を無視した合併の押し付けに反対するとともに、合併後の新自治体では、住民の要求に応え合併にともなうデメリットの軽減・解消や新しいまちづくりの課題に取り組んでいます。
4月に合併した愛西市の日本共産党市議団は、アンケートで住民要求をつかみ、巡回バスの全市域運行、乳幼児医療費無料制度の対象年齢拡大、学童保育の全学区実施、総合支所の体制強化など具体的な政策を示し、新市の施策の向上に努力しています。同市議会では日本共産党議員団のイニシアチブで非核平和宣言が採択されました。
豊田市に周辺六町村が編入された新しい豊田市の面積は、名古屋市のおよそ3倍。住民の足の確保は大事な課題です。日本共産党市議は新市の公共交通網の拡充を要求し、現在、旧町村地域と豊田市中心地を結ぶ直通バスの試行がはじまっています。
■県主導で合併推進
新しい合併特例法は、県が政府の指針にそって「合併推進構想」をつくり、関係市町村にたいし合併協議会の設置や協議の推進を勧告できるとしています。
愛知県は現在、構想の作成作業をすすめています。県関係者は、小規模自治体の行財政調査をやり「基礎的自治体としてやっていけるかどうか」を判断する、構想は「客観的な行財政データにもとづくパターンであって、住民の意向とは必ずしも一致しない」と語っています。
これは、地方交付税の削減・廃止をねらう小泉流「構造改革」に耐える「基礎的自治体」を強権的につくりだすことにほかなりません。
万博・空港で借金漬けになった神田県政は、これまで県が担当していた住民向けの仕事を市町村に移していこうとしています。市町村合併は道州制導入の条件づくりでもあります。県が、旧合併法のときよりも市町村合併を主導的に推進するおそれがあります。
県は、構想を審議会にはかり、来年3月までに決定する構えです。
■前進する住民主役の運動
愛知では2003年8月に各地の合併問題を考える運動が結集して「市町村合併問題を考える愛知県民ネットワーク」ができ、合併の押しつけに反対し「わがまちのあり方は住民が決める」運動が広がりました。
県内各地で、合併をめぐる情報公開、合併協議会の民主的運営、合併の賛否を問う住民投票の実施をもとめる運動が展開され、いくつかの合併協議が破たんしました。
政府は「小さい政府」づくりの名で、自治体に住民サービス切り捨て・住民負担増を押し付け、財源を大企業支援に注ぎ込もうとしています。こうした政策は国民生活との矛盾を広げます。
市町村合併の新たな押し付けの動きに対抗し、地方自治の原則と住民の利益を守り、自治体の意思決定に住民参加を求める運動をさらに前進させることが求められます。