HOME > 資料集 > 活動と主張(バックナンバー) >

【05.03.27】“愛・地球博 開幕するが 愛知窮迫” 
借金漬けで福祉に大なたも 公共事業偏重 見直すとき 
前愛知県議 林のぶとし

3月27日「愛知民報」

 愛知県は万博・空港の関連事業費を約1兆2000億円と見ますが、万博に便乗した公共事業をふくめれば、2兆円に及ぶでしょう。

 愛知県の県債(借金)残高は2010年度に4兆円を超える見込みです。県財政の実態を見ると、「愛・地球博 開幕するが 愛知窮迫」という思いです。神田県政はポスト万博の「新行革」で、すでに切り縮めてきた県民福祉の幹そのものに大なたをふるおうとしています。万博の理念が人類進歩への貢献ならば、福祉充実こそ方向ではないでしょうか。発想の転換が求められます。
 万博関連の主な事業を点検してみました。


◆日本最高の会場建設費
 愛知万博会場の建設費は当初の1350億円から1514億円に膨れ上がってきています。大阪万博のほぼ3倍。国内博覧会史上最高です。「トヨタの見本市」といわれますが、建設費の3分の2は税金。企業寄付や公営ギャンブルからの補助が不足すれば、税金で穴埋めです。
 愛知県は長久手、瀬戸両会場につくったパビリオンに約45億円、万博会場になった青少年公園の県有施設の取壊しと公園再整備に約95億円をすでに投じています。
 世界最大の万華鏡を売り物にする名古屋市のパビリオン「大地の塔」は解体費用を含め20数億円。プロデュースした有名歌手への業務委託費は3年間で約2756万円。福祉給付金の縮減や敬老パス有料化の一方で、あきれた税金の使いっぷりです。
 愛知万博の観客目標数は1500万人。うち600万人を県内から見込みます。愛知県は新年度予算に県内約63万人の小中学生の万博見学費5億1千万円を盛り込みました。


◆すべての道をトヨタに
 万博にむけての道路建設もすさまじい。

【名古屋瀬戸道路】
 東名高速から長久手会場への有料道路。昨年11月開通。延長2.3キロで約647億円。一般道路に接続していないから、東名高速利用者以外は使い道がないという驚くべき「万博専用道」。

【猿投グリーンロード4車線化】
 中山〜八草IC間8.6キロを218億円で4車線に拡幅。県道路公社は、万博・空港のアクセス道路の建設・管理を担当し経営悪化。

【伊勢湾岸自動車道・東海環状自動車道】
 第2東名の一部となる伊勢湾岸と東海環状の両自動車道路が、3月19日に豊田東ジャンクション(JCT)でドッキング。

 東海環状は美濃・関JCTからの延長73キロで事業費約6700億円。名古屋港へのトヨタの「荷送り道路」と言われる伊勢湾岸は豊田東JCT〜豊田東IC間3.1キロで約600億円。

万博すめば がらがら

【東部丘陵線・リニモ】
 名古屋市藤が丘〜豊田市八草間8.9キロをリニアモーターカーで結ぶ“走るパビリオン”。総事業費885億円。
 万博後の目標乗客数は1日3万1千人。競合する路線バスを廃止し集客を図りますが、赤字経営で危機の桃花台線の二の舞が心配されています。

【愛知環状鉄道】
 名古屋駅への直通列車を通すため、高蔵寺駅でJR中央線に直結する事業に30億円投入。1日乗降客2千人程度の無人駅だった八草駅を大拡張。万博後はがらがらです。


◆更地の「臨空都市」

【中部国際空港・県営名古屋空港】
 国内外からの万博来場者の玄関口として2月17日に開港したのが、中部国際空港と県営名古屋空港。
 愛知県企業庁が新空港周辺ですすめている「中部臨空都市」用地造成事業は2430億円。空港開港・万博開催を追い風に「世界レベルの先進的かつ本格的な臨空都市」をめざしますが、肝心の企業立地は進まず、更地が広がっています。
 小型機飛行場に変わった名古屋空港は、滑走路の買い取り、管理運営費などに約287億円が投じられました。

 すでに万博・空港関連のばく大な公共投資がおこなわれていますが、生活がうるおった実感は県民にありません。

 万博の目的は教育といわれます。ならばこれを機に、欧米並みの少人数学級を実現してはどうでしょうか。約60億円で県内の全小学校で35人規模の少人数学級ができます。浪費型公共事業を見直し、未来に生きるお金の使い方を考えるときです。

中部国際空港・愛知万博関連事業

中部国際空港
事業費
愛知県負担分
空港建設事業 中部国際空港株式会社への出資、貸付
6,431億円 
245億円 
鉄道アクセス 中部国際空港連絡鉄道株式会社への出資、貸付、補助
569億円 
141億円 
道路アクセス 知多横断道路、国道155号、西知多道路、都市計画道路浜田線
1,437億円 
788億円 
8,437億円 
1,174億円 
     
愛知万博
事業費
愛知県負担分
会場建設費 日本博覧会協会への補助
1,514億円 
462億円 
鉄道アクセス 愛知環状鉄道株式会社への出資、補助
185億円 
45億円 
東部丘陵線(リニモ) 愛知高速交通株式会社への出資、貸付。道路、街路整備
885億円 
523億円 
道路アクセス 名古屋瀬戸道路、広久手八草線、力石名古屋線、御富士線
934億円 
791億円 
3,518億円 
1,821億円 
 
 
総     計
11,955億円 
2,995億円 

 ・愛知県負担分には外部貸付金を含む。
 ・愛知県「財政中期試算(2004年度当初予算ベース)について」より
 ・空港事業に「中部臨空都市」造成事業費、県営名古屋空港事業費は含まれていない。
 ・万博事業に、伊勢湾岸・東海環状自動車道路の事業費は含まれていない。

 

▲ このページの先頭にもどる