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【05.03.26】愛知万博開催にあたって 
日本共産党 岩中正巳愛知県委員長が談話を発表

3月26日「しんぶん赤旗」

 日本共産党愛知県委員会は25日、「2005年日本国際博覧会(愛知万博)の開催にあたって」とする岩中正巳委員長の談話を発表しました。


 談話は、同県委員会として、開催計画が明らかになって以来、問題点の指摘、見直し提案をし、運動を進めたが、「環境破壊」「過大な財政負担」「地域経済の疲弊(へい)」「県民無視」などの問題は改められず、博覧会国際事務局(BIE)に登録された段階に立って、開催の中止、返上を求め、県民被害を少しでも防ぐための改善の働きかけをしてきた―と、この間の同県委員会の活動を紹介しています。

 その上で「問題の解決のないままに開催が強行されたことは大変残念なことです。しかし、開会した以上、参加される国内外の人々の安全と利便性を守り、『環境万博』にふさわしく万博の理念にたった博覧会となるように、開催中も問題提起していくとともに、『ポスト万博』の名による新たな大型開発の実施、地域経済への深刻な打撃など、開催による県民被害のいっそうの拡大を防ぐために全力をあげる」としています。


「談話」全文は以下の通り。

2005年日本国際博覧会の開催にあたって


2005年3月25日 日本共産党愛知県委員会


 3月25日に、愛知万博が開催されるにあたって、岩中正巳・日本共産党愛知県委員会委員長が以下の談話を発表しました。


1、本日(3月25日)、2005年日本国際博覧会(愛知万博)が開会し、9月25日までの185日間、開催されることとなりました。

日本共産党は、愛知万博の開催が計画されていることが県民に明らかにされた1988年以来、万博の理念にたって、国民、愛知県民の生活をまもる立場から愛知万博の問題点を指摘し、積極的な見直しの提案を行い、市民団体、環境団体とともに、見直しの運動をすすめてきました。その結果、「海上の森」の会場計画は大幅に縮小され、「海上の森」でのニュータウン計画や道路計画は撤回されました。しかし、現在の万博計画の基本が定められ、「環境破壊」「過大な財政負担」「地域経済の疲弊」「県民無視」などの問題が改められず計画が固定化し、博覧会国際事務局(BIE)に登録された段階にたって、日本共産党は愛知万博の開催中止、開催返上を求めるとともに、愛知万博による県民被害を少しでも防ぐための改善の働きかけをしてきました。

 問題の解決のないままに愛知万博の開催が強行されたことは大変残念なことです。しかし、愛知万博が開会した以上、愛知万博に参加される国内外の人々の安全と利便性を守り、「環境万博」にふさわしく万博の理念にたった博覧会となるように、日本共産党は、開催中も問題提起していくとともに、「ポスト万博」の名による新たな大型開発の実施、地域経済への深刻な打撃など愛知万博開催による県民被害のいっそうの拡大を防ぐために全力をあげるものです。


1、開会した愛知万博は、もともと中部財界と県知事、県政「オール与党」が「3プラス1」として、中部の大型開発事業をすすめる「起爆剤」として誘致されたものです。実際、博覧会協会の会長をトヨタ自動車の名誉会長が務め、燃料電池バス、IMTS(無人隊列走行バス)、HSST(磁気浮上式システム)など財界によって次世代の企業戦略として打ち出されたものが、万博の「目玉企画」の一つとされています。

  本来、愛知万博は「自然の叡智」をテーマにした「環境万博」という性格のものになるはずでした。2000年に行われた第2回世界自然保護会議(日本政府も参加)においても、決議で、 愛知万博について「1997年のBIE総会において、日本政府が『自然の叡智』をテーマとする環境万博とすることを表明して、2005年国際博覧会の開催国と認められたことを想起し、(中略)1、BIEが、2005年に日本国愛知県で開催される国際博覧会が、環境万博となるよう、日本政府に対して引き続き適切なアドバイスを行うことを求める」と明記しています。しかし、現行計画は、本来行うべき環境影響評価の再実施を拒否し、オオタカの餌場、生息域の消滅、長久手会場に生息するギフチョウの食草であるスズカカンアオイの減少をはじめ樹木の伐採と草花の消滅、瀬戸会場でのホトケドジョウやムササビへの悪影響、周辺駐車場建設における稀少種ダルマガエルの強制移植など万博計画にかかわる会場整備のためにことごとく自然の生態系を破壊する、環境破壊の万博計画となりました。世界自然保護基金日本委員会など環境3団体が万博への参加を拒否したことはその端的なあらわれです。とくに、万博会場内に「推定活断層」があることは、参加者の安全を守るうえで重大です。日本共産党は、経済産業省に対し建築物の移築、会場の変更など抜本的な安全対策をとることを求めましたが、真摯な対応がとられていません。

  また、万博開催の是非を問う県民投票を求める県民の要求を二度にわたって県知事と県政オール与党は拒否し、博覧会協会も、万博開催についての全県民の意向をくみ取る努力を放棄するという「県民無視」の万博計画となりました。ゴンドラ計画にいたっては、地元の自治会が建設に反対しているにもかかわらず、説明を途中で放棄し建設強行にいたったことは重大です。

  さらに、万博による地域の活性化が強調されましたが、瀬戸市や長久手町などの地域の活性化にはいっさいつながりませんでした。しかも、これまで行われた国際博覧会の中でもっとも自治体への財政負担が重く、愛知県など自治体財政を圧迫し、「住民の福祉の増進」を目的とする地方自治体の役割をゆがめる役割を万博計画が果たしました。

  そのうえ、開催前から、実用試験抜きの東部丘陵線の実施、東部丘陵線と地下鉄の輸送量の違いによる混乱、会場への道路の渋滞、会場入場時のチェックによる混雑、飲食物持ち込み禁止の措置による会場内飲食施設への集中と混雑、小中学校の強制に近い参加組織などの諸問題が危惧されています。

  このように、愛知万博が数々の問題を抱え、解決しないまま開催が強行されたことは、「自然及び環境の尊重が人類にとって極めて重要であることを反映させる」、「人間的、社会的な要求及び自然環境保護の必要性から諸問題を浮き彫りにする」(「今後の国際博覧会に関する指針」から 第115回BIE総会決議)という21世紀の万博の将来に汚点を残すものと警告するものです。


1、「国際博覧会条約」で、「博覧会とは、名称のいかんを問わず、公衆の教育を主たる目的とする催しであって、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用できる手段又は人類の活動の一若しくは二以上の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望をしめすものをいう」と規定されている点をふまえ、日本共産党は、愛知万博が、人類が進歩をかちとった到達点を確認し、新たに抱えている問題点の解決の方向を模索するという国際博覧会の理念にもとづいて検証されるべきものと考えています。

  したがって、愛知万博の関連事業についても、万博の理念にかなっているか、浪費型の大型開発など新たな住民被害を生み出さないかなどの視点に立って、住民とともに事業の是非を明らかにし、改善を求めていきます。

  同時に、「ポスト万博、空港」として計画が検討されている、「グレーター・ナゴヤ・イニシアチブ(GNI)」「国際交流圏大都市構想」など新たな浪費型大型開発や大企業優先のまちづくりについては、厳しく批判し、「くらし・福祉」を第一に、中小企業を応援する政治に転換するため全力をあげるものです。


以上

 

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