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【05.02.20】名古屋松原市政黒書(5)
日本共産党名古屋市議団事務局長 平子直義
2月20日「愛知民報」
◆名古屋市役所を「営利企業」に
地方自治体は公共団体であり、主権者・住民の福祉や健康の増進を進めるのが本来の役割です。しかし松原市政は、自治体を「営利企業」、市民を「お客様」に置き換え、自治体の役割を大きく変質させてきました。
松原市政は施策の「行政評価」をおこなってきました。その視点は(1)民間でできることは民間にまかせる(2)費用対効果と効率性(3)受益者負担の強化。当局による「内部評価」、さらに第三者(公認会計士や企業経営者など)による「外部評価」がおこなわれますが、行政サービスを市場原理に委ねることが評価の基本となっています。
◆市独自の優れた施策がヤリ玉
行政評価の結果、全国トップレベルの敬老パス、政令市で唯一の国保世帯主2割負担、低所得高齢者の医療無料制度の福祉給付金などの「日本一の福祉」施策、児童館・青年の家・冷水プールなどの直営施設が「C」(見直しの検討)、あるいは「D」(休・廃止の検討)と低く評価されています。
また、図書館やスポーツセンター、市営プールなどの駐車場や成人健診・がん検診の有料化など「受益者負担」の強化がはかられ市民に負担増が押しつけられています。駐車場の有料化のための機械が導入されましたが、採算がとれるまで何年もかかるところがあるといわれ、有料化が新たな財政負担を発生させています。
その一方で、水需要のない徳山ダムなどの大型公共事業などを、「A」に評価し、「計画通り事業を進めることが適当」と推進を認めています。
◆トップダウンの市政運営
松原市政のもとで、市長など市の最高幹部に財界人などの経営アドバイザーを加えた「経営会議」(非公開)が市政運営の方針を決めるようになりました。これまでは、現場など下からの意見をくみ上げ、トップが最終的に判断して決め、現場に徹底してきました。しかし、松原市政はトップダウンで方針を決めたら、最後までその方針を押し通すという姿勢です。
◆予算一律カットの財源配分方式
松原市政は、毎年の予算編成にあたり、これまでの職場からの予算積み上げ方式を各局に予算枠をあてがう財源配分方式に変えました。「行政評価」や「外部評価」を受けて、収入額に応じて支出を一律に削減することにより、市民の暮らしにかかわる予算を大幅にカットし、市民への負担増を押しつけてきました。ところが、万博・空港関連事業や大企業のビル建設を中心とする「都市再生」事業には、予算を重点配分しています。
今後、小泉内閣の定率減税廃止、消費税率引き上げなどの大増税や市民税の課税最低限引き下げによる国保料や介護保険料、保育料などへの影響とともに、「受益者負担」が更に強化され、公共料金が値上げされることになれば、市民の多大な負担増を招きます。
さらに松原市政は、「民間にできることは民間へ」ということで職員ホームヘルパーの廃止など市職員の削減や市民病院の縮小再編計画などを進め、民間営利会社の採算ベースで判断し公共サービスを切り捨てようとしています。
◆形だけの「市民参加」
松原市政のすすめてきた「市民参加」は形ばかりです。住民説明会やパブリックコメントなどを行っていますが、それで本当に市民の声が反映され市民の理解や納得が得られているでしょうか。
たとえば、貴重なヒメボタルの生息地を守れと住民が反対している都市計画道路・弥富相生山線(天白区相生山緑地)や、居住環境が破壊されるとして住民が反対している池内猪高線(千種区)の建設をゴリ押ししています。市立病院整備基本計画では、守山市民病院と城西病院について住民が「規模を縮小しないでほしい」と強く望んでも聞き入れようとしません。
松原市政は公害をまき散らす恐れのある市の隣接地域への産業廃棄物焼却施設(春日井市)建設問題では、守山区や北区など周辺住民が反対しているのに建設を容認。港区築地口へのボートピア(場外舟券売場)誘致計画では、地元の多数の反対の声を無視し、設置を同意しました。