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【05.02.06】安心できる介護制度へ
負担増はゆるさない
日本共産党と介護の会がシンポ 名古屋市
2月6日「愛知民報」
日本共産党愛知県委員会と介護の充実を求める愛知連絡会(愛知介護の会)は1月23日、「より良い介護制度に」と題したシンポジウムを名古屋市民会館で開きました。今回のシンポジウムは介護保険制度の5年目の見直しにあたり、現行制度の問題点と改革の内容を明らかにするために開かれたものです。日本福祉大学名誉教授の高島進氏、日本共産党愛知県委員会副委員長の瀬古由起子前衆院議員、同党名古屋市議の黒田二郎氏、南医療生協かなめ病院ケアマネージャーの鷲野雅子氏、愛知県障害者(児)の生活と権利を守る連絡協議会副会長の上田孝氏がパネリストをつとめました。参加者は、各パネリストの発言に熱心に耳を傾けました。
◆貧乏人いじめ 高島進氏
介護保険制度は1995年に社会保障審議会の「21世紀の社会保障の再構築」という勧告で“第一の税”として推奨されて出来たものです。1955年に社会保障審議会は「貧困は国の責任で解決する」と勧告しましたが、95年勧告は半世紀たって経済の発展、社会保障制度の改善で貧困は解決したという考えです。貧困は解決されたから老人医療や新しい社会保障は国民相互扶助でやるんだということで介護保険制度ができたんです。貧困はなくなったでしょうか。お年寄りの76%は住民税非課税です。税金を取ると憲法25条「健康で文化的な生活」が出来ないから税金を取らないのです。そういう人からも介護保険料は取り立てるのです。年金から保険料は天引きです。年金額の平均は4万6千円です。2万円、3万円の人もたくさんいます。そういう低額の年金の人でも10%の利用料を払わねばならず、利用率は40%です。介護保険制度はまさに貧困層、貧乏人いじめになっています。
◆国庫負担30%に 瀬古由起子さん
介護保険制度は5年目の見直しの時期を迎えました。政府は2月ころに法案を提出する予定です。
今の介護保険制度を政府は次のように変えようしています。一つ目は在宅介護サービスの利用を制限し、多くの高齢者から生活の支えとなっているホームヘルパーなどの介護サービスを取り上げようとしていることです。二つ目は10%の現行利用料の大幅値上げです。三つ目は介護保険料を20歳から徴収し、それにともなって、介護保険と障害者の支援金制度を統合することも検討しています。
見直すべき問題として利用料負担が重い、保険料の値上げの繰り返し、施設不足など課題がたくさんあります。
日本共産党は最小限の見直しとして、国庫負担を今の25%から30%に引き上げ保険財政を安定させる、利用料・保険料の減免制度をつくる。保険料・利用料を支払能力に応じた負担方式に改めるなどを提案しています。
◆行政責任を放棄 黒田二郎氏
名古屋市の介護保険制度の実態について報告します。
名古屋市では保険料が払えない人が年々増えています。そして何年も滞納をする人も増えています。利用率が4割というのは何年も変わっていません。要介護認定を受けても利用料が高くて使っていない人が多いという問題もあります。
施設不足も深刻です。特別養護老人ホームの待機者がどんどん増え続けています。2000年に2千人だった待機者が今は5800人です。
ケアマネージャーの過重労働も解決されていません。50人も60人も担当していて月1回の訪問もままならないという話も聞きます。また施設職員の賃金引下げなどの問題もあります。
役所の相談窓口での対応の不十分さ、市職員ヘルパーを来年度から廃止するなど、行政が責任と役割を放棄しているといえます。
◆緊急対応が困難 鷲野正子さん
介護保険制度が始まって在宅の場合、サービス機関は増えました。以前はデイサービスを受けたいと思っても週1回行けるくらいで大変でしたが、今は365日営業する施設や受け入れ人数が10人、20人から40人などの施設もありサービスは拡大されています。
要介護認定の上限と利用料の枠内でしかやれない実態は変わっていません。事情があって週に1回ヘルパーを増やし5回になると上限をオーバーします。するとヘルパーの時間を短くして上限を抑えるのです。そうしないと低額年金の人は貯金を取り崩さないとやっていけないのです。
介護していた奥さんが病気になった時、痴呆症の夫の緊急入所施設が見つからないなど緊急対応が困難な状況は介護保険制度が出来る前と変わりません。
老人保健施設の入所についても要介護度が低いと難しい。医療依存度が高いと、さらに困難です。
◆「応益負担」は問題 上田孝氏
2003年からはじまった障害者の支援費制度は、介護事業への民間企業の参入が図られると同時に、自治体の公的責任が後退しました。しかし利用しやすさなどから移動介護を中心に予想を上回る利用が進み予算が足りなくなりました。昨年は100億円も足りず今年は250億円以上も不足するといわれています。
厚生労働省は昨年、「今後の障害者健康福祉施策について」(改革のグランドデザイン案)を発表し、今年2月には「障害者自立支援給付法案」を出す予定です。
この内容は介護保険といつでも一本化する内容になっています。一番大きな問題は「応益負担」導入です。「グランドデザイン案」では、今年10月から育成医療、厚生医療、精神通院は1割負担、来年1月から居宅介護に1割負担を導入しようとしています。これは障害者、家族に一挙に負担増を強いて、障害者の生活を破壊するものです。