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【05.01.23】名古屋松原市政黒書(1) 福祉制度に大ナタ 
日本共産党名古屋市議団事務局長  平子直義

1月23日「愛知民報」

 4月におこなわれる名古屋市長選挙は、革新市政の会(日本共産党も参加)から立候補を予定している、くれまつ佐一氏(48)と現職の松原武久氏(67)のあらそいが予想されます。4年間の松原市政をシリーズで検証します。


◆公約違反の松原市長
 4年前の市長選挙で松原市長は、「福祉の充実」を掲げ、敬老パスや福祉給付金、国保世帯主2割負担など福祉・医療施策の「さらに一層の充実をめざします」と公約しました。
 しかし、この4年間どうだったでしょうか。公約に反し、敬老パスの有料化をはじめ、次々と名古屋の優れた福祉制度に大ナタをふるい福祉予算を大幅に削り後退させ、特に高齢者や子ども、障害者などの社会的弱者に痛みを押しつけてきました。
 同市長は今回の出馬表明にあたり、「マニフェスト」と市政8年間の実績を発表しました。実績の中で、自己評価表、いわゆる5段階評価の「成績表」で自分を採点しています。「福祉のまちづくり」を「5」とし、「総評」では、「…持続的安定的な福祉の実現に向け、敬老パスの一部負担金を導入するなど課題を先送りせず、名古屋の将来をみすえた市政運営をおこなった」と自賛し、市民へ痛みを押しつけたことについて何の反省もなく、市民から怒りを買っています。


◆昨年度だけで百億円以上の市民負担増
 2003年度には、国保世帯主3割負担への改悪をはじめ、福祉給付金の対象を10万人から3万人に減らし、68歳の医療費助成の廃止、介護保険料の値上げ、要介護高齢者等福祉金の削減、成人基本健診の有料化、がん健診の値上げ、遺児手当の所得制限強化、敬老の日祝品廃止、生活保護の修学旅行支度金の削減などが、「採算性」「効率性」「受益者負担」の名の下に強行され、市民への新たな負担増が少なくとも100億円以上になったことが明らかになりました。


◆老後不安は高まるばかり
 介護保険制度について、低所得の高齢者には保険料・利用料負担が重くのしかかり、利用率は4割台にとどまっています。4千人にのぼる特別養護老人ホームの入所待機者がいるなど、介護基盤の整備の遅れも目立ち、必要なときに必要なサービスが受けられないという事態になっています。
 松原市長は、65歳以上の市民への市営バス・地下鉄無料敬老パスを改悪し、所得に応じ2段階の有料化にしました。制度そのものを存続させ、有料金額を抑えたのは市民の大きな運動の力です。


◆ 生活保護と国保滞納が急増
 若い世代での低所得世帯の増加など貧困化が進んでいます。生活保護を受給する世帯も急増していますが、名古屋市は援護施策のうち、福祉奨学金を打ちきり、小中学生の修学旅行支度金まで減額しました。
 自営業者や高齢者など市民の約4割以上の世帯が加入している国民健康保険は、世帯主2割負担を3割負担に改悪しました。不況のもと高い国保料を払いたくても払えない「滞納世帯」が急増していますが、一部負担金の減免制度はほとんど活用されていません。


◆安心できない「子育て支援」
 子育てと仕事の両立支援に欠かせない保育所は、超過入所などで解消を図ってきましたが、待機児童は依然として解消されていません。政令市の多くが実施している病児・病後児保育については、強い市民要求に押され、来年度予算で定員4人のモデル事業を予定しています。学童保育は助成が十分でなく、各地域の学童保育所の運営は大変きびしくなっています。松原市長はトワイライトスクールとの「機能の一体化」を打ち出しており、自主的な学童保育所の成り行きが心配されます。


◆冷たい障害者施策
 障害者の活動の拠点である小規模作業所などでは、市の補助削減が毎年続き大変苦しい運営を強いられています。また重度の障害者福祉施設への新規建設が、市予算が計上されても国の「三位一体改革」のあおりを受け補助がつかないために、準備してきた計画が中止となり、深刻な支障をきたしています。また、障害者支援費制度については、障害者の施設や制度は十分ではありません。

制度改悪などで負担増となった福祉施策(2003年度決算)
影響額
国民健康保険 世帯主2割負担が3割負担
28億円
福祉給付金制度 対象10万人から3万人に
24億円
老人医療 68歳からの助成廃止
10億円
敬老の日祝い品 廃止
1億円
介護保険料 平均10%上げ
13億円
要介護高齢者等福祉金 月7500円を5000円に
4億円
介護保険料第4段階 基準所得250万円を200万円に
(国制度)
ホームヘルプサービス 利用者軽減3%が6%
(国制度)
老人クラブ運営補助 1人4320円を3460円に
3000万円
民間社会福祉施設運営費補助金 国基準の50%から40%に
1億円
成人基本検診 無料から自己負担1000円に
1億円
成人基本検診 対象を35歳から40歳に
6000万円
なごやか検診(40・50歳) がん検診を除外
6000万円
各種検診の自己負担免除 65歳を70歳に引き上げ
4000万円
がん検診 自己負担増額
2000万円
遺児手当 所得制限引強化
6000万円
障害者タクシー料金助成 1枚820円を740円に
4000万円
障害者住宅改造補助 100万円を80万円
不明
小規模作業所新規助成 4、5、6月をカット
不明
小規模作業所運営助成 人件費、運営費をカット
不明
精神障害者小規模作業所 運営費をカット
不明
子供会運営費補助 単一27000円を21600円に
2000万円
児童扶養手当 月額42370円を42000円に
(国制度)
特別児童扶養手当 1級51550円が51100円に
(国制度)
生活保護の法定外保護 福祉奨学金・公立校廃止
2000万円
生活保護の修学旅行支度 小6の3900円を3000円、中3の5800円を5000円に
不明
生活保護・扶助基準額 163970円を162490円
(国制度)

 

 

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