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【04.04.18】市町村合併押し付け 大義も勢いもなし
前愛知県議 林のぶとし
4月18日「愛知民報」
■住民がノー
小泉内閣が、地方への支出削減をねらって推進している市町村合併は思惑通りにすすんでいません。
愛知県内では「平成大合併」の第1号として昨年8月に田原市(田原町と赤羽根町が合併)が発足したものの、その後、合併構想が相次いで破たんしています。
昨秋以降、西春日井郡6町、北設楽郡5町村、海部東部、西尾市・幡豆3町で合併協議が不調に終わり協議会が解散しました。
豊川市・宝飯郡では新市建設計画の決定後という合併協議の最終段階で、2月末に住民投票・住民意識調査がおこなわれ、2町で反対が賛成を上回り、協議会は3月5日解散。「都市内分権」が目玉だった江南市・岩倉市・大口町・扶桑町の任意合併協議会も3月22日、大口町が「法定協移行は時期尚早」として離脱し解散にいたりました。
4月11日おこなわれた稲沢市・祖父江町・平和町の合併の賛否を問う祖父江町の住民投票では、賛成が上回ったものの、反対が44.3%に達し、賛否がほぼ二分した形。稲沢市に吸収合併された場合、同町の福祉・住民サービスが軒並み削減され住民負担が増えます。新市建設計画の決定や合併協定書の作成・調印はこれからで、住民の今後の動向が注目されます。
■崩れるメリット
小泉内閣が「三位一体改革」の名による地方交付税の大幅削減を強行するなかで、合併特例債の元利償還金をふくむ交付税総額が確保される保証はないという不安が自治体関係者に広がっています。
これまで「合併しないとやっていけない」といってきた県内の首長が「合併してもきびしい」と言う状況になっています。政府が開会中の通常国会に提出した新合併特例法案では、その合併特例債の「優遇」措置さえなくなります。
国の財政赤字を地方に転嫁する市町村合併の押しつけや地方交付税の大幅削減に反対し、住民福祉の増進のために必要な財源保障を国に求める運動が求められています。
■ 住民投票で是非を
現行合併特例法の期限が来年3月末に迫り、行政側は合併の是非を住民に問わず、合併協議会の合意と議会の決定で合併にもちこもうとしています。合併協議会の民主的運営や住民投票の実施を求める声が高まっています。
行政側が示してきた合併後の財政シミュレーションが地方交付税大幅削減によってあてにならない事態になっています。住民が合併の是非を十分検討できるよう情報を提供させることが重要です。
清洲町や佐屋町、佐織町では住民投票の実施を求める運動がおこなわれています。木曽川町では3月議会で議員提出の住民投票条例案が10対9の僅差で否決されましたが、今度は住民が条例制定を求める直接請求を起こす構えです。
■ 自立したまちへ
押しつけ合併をご破算にさせた住民運動が自立したまちづくりをすすめる運動に発展する動きが起きていることは注目されます。
1市4町の合併が破綻した豊川・宝飯では、関係自治体の福祉・住民サービス水準の比較をつうじて浮き彫りになった各自治体の課題が住民の要求となり、それぞれの自治体の条件や特性を生かした自立のまちをめざす運動に発展させる取り組みがはじまっています。