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住環境壊さないで 住民が河村市長に直談判

河村市長(右)に高速道路新設計画見直しを求める周辺住民=1日、名古屋市中区丸田町交差点

 名古屋高速道路のジャンクション(渡り線=JCT)新設計画の見直しを求める住民団体が1日、名古屋市中区丸田町の交差点で現地視察にきた河村たかし市長に対し、「住環境を壊さないでほしい」と直談判しました。住民ら30人が参加しました。

 (愛知県・加能拓人)

 河村市長の視察は、昨年8月の「健康と環境を守れ!いっせい行動」で、高速道路建設に反対する住民団体「丸田町JCT新設問題対策会議」が市長に求めていたもの。住民の運動が市長を動かしました。

目の前まで迫る

 新設計画は、リニア中央新幹線の開業に向けた「名古屋駅周辺まちづくり構想」の一環です。名古屋高速道路都心環状線と、東西に横切る2号線とをつなぐ最大高さ32㍍にもなるジャンクションを設け、名古屋南部方面へのアクセス向上を図るものです。

 2020年に計画が公表(事業費約600億円)され、住民説明会が行われましたが、住民の納得できる説明がなされず、住民有志が計画を見直させようと22年2月に「対策会議」を発足させました。代表の祖父江俊一さんは「建設されれば自宅マンションの目の前まで高速道路が迫ってくるので困る」と話します。

 対策会議は、発足から1年半のあいだに会主催の説明会を26回開催。市と公社は住民の不安にまともに答えないまま、質問項目が120を超えました。

 建設計画では、歩道の上に橋脚をつくり、高速道路を建設するとしています。しかし、予定地はかつて高速道路をつくった際に、市の都市計画で、車線を減らして歩道を広げ、電線の地中化や自転車レーンを設けてきた場所です。

環境基準を超過

 対策会議は、高速道路の新設によって、騒音、日照、落下物の心配、消防活動の妨げ、環境悪化になるとして、見直しを求める署名に取り組んできました。

 今年3月から取り組んだ建設見直しを求める署名には、これまでに約1000人分の署名が集まっています。署名した住民からは「いまでもうるさくて眠れない。体調も悪くなっている」、「市は何も言ってこない。署名で計画を知った。やめてほしい」と声が寄せられています。

 祖父江代表は視察にきた河村市長に対し、住民の不安の声を届け、騒音の測定値も示し、「すでに環境基準(70デシベル)を超過している状況にもかかわらず、新しい高速道路をつくれば、騒音がよりひどくなる。市の景観条例や日照権の侵害となるなど課題が山積している」と強調しました。歩道上に高速道路ができることで、道路沿いのマンションで住宅火災が起きた場合には、消防活動の邪魔になることや落下物の危険性もあります。「国交省のガイドラインにも住民の理解と納得が必要としているのに、市や公社は住民の不安や課題を無視したまま進めようとしている。本当にこの建設計画しかないのか。代替案を含め、各方面から課題を検討してもらい、計画を見直してください」と迫りました。

 河村市長は「代替案があるなら比較検討が必要だ」とこたえました。

( 8月4日 しんぶん赤旗)