4月の愛知県議選で4年ぶりに日本共産党議席を復活させた下奥奈歩県議が22日、臨時議会で2023年度の補正予算案に反対の立場でただ一人、反対討論を行いました。知事提案の議案を「異議なし」で採択する〝翼賛議会〟から一変。ゆがんだ県政にメスを入れる党議席の復活に傍聴者からも期待の声が寄せられました。
下奥氏は、補正予算案の中心となる物価高騰対策は必要だとしつつ、「航空機サプライヤー(企業)支援」と「結婚支援」の2点について反対しました。
県は航空宇宙分野の国際的展示商談会「エアロマート名古屋」に出展する企業への支援を当初予算から拡大。航空宇宙産業を自動車産業に次ぐ第二の柱と位置づけ、企業支援に約3400万円を計上しています。
大企業奉仕批判
下奥氏は、予算拡大の必要が生じたのは多額の税金が投入されたスペースジェット事業から三菱重工が2月に撤退し、その影響を受けた企業への後始末のためだと批判。撤退の影響への対応は原因をつくった三菱重工の責任と負担で対応すべきで、これ以上、県費を投入すべきでないと強調しました。
さらに、三菱重工が民間航空機の開発技術を軍用ミサイルに転用すると公言したことにふれ、「このままでは航空宇宙産業への支援が、結果的に軍需産業を支援することになりかねない。支援の在り方を見直し、大企業に社会的責任を果たすよう指導すべきだ」と指摘しました。
県が少子化対策として婚活イベントを開催したり、民間イベントを支援したりする「結婚支援」(約3900万円)について下奥氏は、「結婚という極めてプライベートで個人の人生の選択に自治体が介入すべきではない」と強調。特定の結婚観を県が押し付けることにもなり、同性婚を望む人たちなど多様な人生の選択への配慮が抜け落ち、ハラスメントにもつながると指摘しました。
県民の応援背に
出産や子育ての一番の支援は学費や生活費の支援など社会全体で支える体制や仕組みがあることだと指摘。ジェンダー平等の国際的流れにも逆行する婚活イベント推進には賛成できないと強調しました。
補正予算案は「起立採決」となり、下奥氏をのぞく賛成多数で可決されました。
傍聴者からは、「大企業奉仕に切り込む討論だった」「共産党議席の復活で議案の問題点が明らかになった」との声が聞かれました。豊橋市から傍聴に来た服部留美子さんは「堂々とした発言だった。共産党議席がないと誰も反対せず『シャンシャン議会』で終わっていた。全県的に大切な1議席。下奥さんの議席の背後には県民の応援がついている。一緒に頑張りたい」と今後の議会への期待を語りました。
(5月24日 しんぶん赤旗)