愛知県医療介護福祉労働組合連合会(愛知県医労連)が実施した看護職員労働実態調査で、慢性的な人手不足がコロナ禍の過酷な労働環境により一層深刻さを増している実態が浮き彫りになりました。
県医労連が12日、県庁で記者会見し、調査結果を発表しました。
調査は、日本医労連が5年に一度取り組んでいるもの。昨年10~12月に実施し、県内24病院4981人(前回3919人)から回答を得ました。
2交代夜勤増加
「仕事を辞めたい」と「いつも思う」「ときどき思う」は合わせて79・8%。前回調査(18年、73・7%)から1割程度上昇。「辞めたい理由」は、「人手不足で仕事がきつい」58・8%で、「賃金が安い」「休暇が取れない」「夜勤がつらい」と続きました。
夜勤では、2交代夜勤が前回34・2%から57・1%に増え、夜勤拘束時間が「13時間以上」と答えた人が28・9%から55・8%へ倍増。人手不足で仕事量が増え、休憩や休暇が取れず、7割超が「慢性疲労」、6割が「健康不安」を抱えています。約9割が医療ミスやニアミスを経験したと回答しました。
回答者の93%が女性。生理休暇は99・3%が「全く取れていない」、妊娠者の5人に1人が「切迫流産」、10人に1人が「流産」を経験したと回答。看護職員の母性も危ぶまれています。
会見で池田幹人書記次長は「この3年間、コロナ禍で人員不足に拍車がかかり、夜勤回数の増加など負担が顕在化した。過酷な勤務は注意力低下を招き、患者の命に直結する深刻な問題。看護師が健康に働き続けられるよう労働時間の規制が一刻も早く求められる」と話しました。
やりがいを奪う
3人の現役労働者が報告しました。
訪問看護ステーションの近藤直己さんは「新卒看護師の2割が1年未満で退職した。業務量が多く、『もっとこうしたい、でもできない』とジレンマを抱え、心をすり減らしている。看護師の仕事は人に寄り添い支えるとてもやりがいのある仕事です。看護がきちんと評価され、看護師を増やし、心身への負担が軽減できるよう改善してほしい」。病棟勤務の柴田このかさんは「2交代制で16時間夜勤は月5、6回です。看護師に余裕がなく、疲れてしまえば、患者にとってもいいことはなく、看護のやりがいも失われます。ゆとりのある人員、勤務で私生活も仕事も充実する看護を願っています」。看護師歴42年の浜島ちか子さんは「患者や利用者の気持ちに寄り添い、その人らしい人生を送る援助、ありがとうの言葉が大きな励みになる。どの年代の看護職員もやりがいをもって長く働き続けられる環境を一刻も早く作りたい」と話しました。
県医労連は会見後、大村秀章県知事に対し、県応援金制度の維持・拡充、県内すべての看護職員を処遇改善の対象にすること、県看護修学資金の再開・拡充など求めて要請書を提出しました。
(5月16日 しんぶん赤旗)