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愛知にも公立夜間中学を 設立求め名古屋で集会

公立の夜間中学の設立を求めて開かれた集会=昨年12月18日、名古屋市熱田区

 「学びの権利を実現しよう」―不登校や外国人の児童・生徒が増えるなか、学びの場として全国で公立の夜間中学が増えていますが、愛知県には1校もありません。公立の夜間中学設立を求める活動を取材しました。

 名古屋市内で昨年12月18日、「公立の夜間中学設立キックオフ集会」が開かれ、オンラインを含め90人が参加しました。

 主催した愛知夜間中学を語る会は、2020年5月に結成され、北区で「自主夜間中学 はじめの一歩教室」を展開しています。

 集会では、長年にわたり東京の区立夜間中学の教員を務めてきた関本保孝さんが全国の現状を報告。夜間中学は、戦後の貧困から学校に通えない子どものために設立され、その後は中国帰国者、インドシナ難民が増え、今は不登校だった日本人や仕事などで来日した外国人とその家族が増えていると指摘、「社会的弱者である義務教育未修了者のかけがえのない学びの場、セーフティーネットです」と強調しました。

■ 全国2番目

 公立夜間中学は、義務教育機会確保法成立(16年12月)以降、全国各地で新設され、今年度は15都道府県で40校になっています。しかし愛知県内はゼロ。政令市で県内に夜間中学がない、まだ設置予定がないのは名古屋市と新潟市だけです。国勢調査では義務教育未修了者が愛知県4万3072人と全国で2番目に多く、名古屋市内には1万568人(政令市3番目)います。

 語る会代表の笹山悦子さんは、「はじめの一歩教室」のあゆみを紹介。定時制高校の教員として外国人の子どもたちに日本語を身に付けさせたいと思い立ち上げました。毎週土曜日(月1回休み)、年齢・国籍問わず、無料で学力や日本語力に合わせて勉強しています。「当初は5人でしたが現在は120人。学びをきっかけに子育て、仕事の悩みも出し、生きづらさに寄り添う場所となっています。体系的な学び直しと誇りが持てる『公立の夜間中学』との両輪が必要です」と語りました。

 教室に通う生徒も発言しました。生徒会長のサパコタ・ジョティさんは17歳の時にネパールから来日。「日本語がわからず高校に入れなかった。家にとじこもるのをやめて自動車関係の仕事をしたが、コロナでダメになった。「一歩教室」を紹介され、少しずつ日本語を覚えて定時制高校に入った」。18歳で来日したガウタム・ニラジュさんは「日本語学校に1年通い、アルバイトで月5万円の授業料を払った。無料の公立夜間中学がほしい」。

 山田美弥子さん(79)が「家が貧乏で子どもの時から学校に行かず働いた。教室で少しずつ字を覚え、伊藤左千夫の小説『野菊の墓』が読めた時は涙がでた」と話すと、大きな拍手が沸きました。

■ 議会で要望

 愛知県も名古屋市も現在、公立夜間中学の設置を検討中です。「語る会」は12月22日に県と名古屋市に「実態調査結果を踏まえた公立夜間中学の設置」を要請しました。

 日本共産党は県議会で19年3月、わしの恵子議員(当時)が「義務教育の機会を保障すべき」と設置を要望。市議会では22年6月に岡田ゆき子議員が「潜在的ニーズ調査」を迫りました。

(1月5日 しんぶん赤旗)