愛知県医療介護福祉労働組合連合会(愛知県医労連)は、長引くコロナ禍で加盟組合のある病院・介護施設へのアンケート調査を実施し、新人看護師の離職が増えていることを明らかにしました。コロナ以前からの人手不足に加え、過酷な勤務環境で人員が定着せず人手不足に拍車をかけているとして、看護師・介護職が働き続けられる環境整備、処遇改善が求められています。
矢野彩子書記長らが10日に県庁で記者会見し、調査結果を発表しました。
調査は10月、加盟組合の病院・施設を訪問・懇談し、看護師の離職率、勤務実態などを聞き取ったもの。32病院・施設が回答しました。
看護師全体の離職率(平均)は9・9%でしたが、1年以内に辞めた新人看護師の離職率は12・5%にのぼりました。救急病院では新人看護師の離職率が20%を超える所もありました。新人の離職理由について、ある病院は「コロナ禍で実習が十分に行えない中、現場の多忙な業務についていけない。昼食休憩も黙食で先輩とコミュニケーションが取れず、メンタル不調で退職につながっている」と明かしました。
クラスターが発生した病院では、職員も感染し人員不足が深刻な状態になっています。2交代16時間の夜勤が月4回から10回に増え、育児短時間勤務の看護師も夜勤をやらざるをえない状態となっています。転倒やミスが増え、患者の入浴やおむつ交換などのケアも十分に行えないなど、看護の質にも影響が出ています。
会見で、病院や訪問看護で働く看護師3人が現場の実態を報告しました。「8月は救急車の搬送台数が大幅に増え、心身ともに疲弊した」「防護服を着て陽性者に訪問しても、訪問看護は国の処遇改善の対象にならないのはおかしい」「あまりにも人が足らず、70代のヘルパーも長時間労働をせざるを得ない」と訴えました。
休みが取れず参加できなかった介護職は手紙を代読してもらい、「施設で利用者が感染し、衰弱しても救急搬送してもらえず、利用者が続々と亡くなった。繰り返さないよう対策してほしい」と痛切に訴えました。
県医労連は会見後、愛知県に対し、コロナ禍での安全・安心の医療・介護へ感染対策を強化するとともに、「第8波」に向け、大幅な増員と働き続けられる処遇改善を要請しました。
(11月16日 しんぶん赤旗)