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格差是正 最低賃金1500円に 愛労連 非正規の実態調査

実態を告発し、最賃全国一律1500円を求める非正規労働者の人たち=14日、愛知県庁

「最低賃金を全国一律1500円に引き上げ、地域間格差の是正を」―。愛労連(愛知県労働者組合総連合)パート臨時労組連絡会は14日、県庁で記者会見し、県内の採用時給調査の結果を報告し、コロナ禍と物価高騰で困窮する非正規労働者の実態を告発しました。

 調査は3~4月、県内10エリアに分け、19職種2470社の採用時給を分析しました。全県の平均は1050円で、愛知県の最賃(955円)より95円高くなりました。職種別平均では、最高が看護師1409・4円、最低がコンビニ965・9円でした。

地域別では、豊橋、一宮、尾張西の3エリアが顕著に低いことがわかりました。3エリアとも静岡、岐阜、三重の3県と隣接し、愛知より低い最賃が影響していると考えられます。

 

生活は苦しく

会見では、実際に働く非正規労働者が次々に告発しました。民間保育園で働く鈴木美香さんは、「冬は冷蔵庫を止め、夏はエアコンを止めて節約している。保育士の賃金や処遇の格差が子どもの保育の格差につながる。よりよい保育をしていくためにも最賃増額、処遇改善を」。名古屋市会計年度任用職員で保育士の尾崎よしみさんは「30年以上働いてきたが、時給1227円で頭打ち。26歳までしか昇給がない。政府のケア労働者賃上げ策は名古屋市で実施されず、正規も非正規も1円も上がっていない。増税と物価高騰のなかでも、昇給がなく生活は苦しくなるばかり」と訴えました。

 生協労組コープぎふ労組の古池まさ美さんは、最賃の県別格差を報告。「2人の子どもは愛知に進学、就職した。愛知と岐阜では月2万、年収30万も変わる。若い労働力が流出し、地域は衰退するばかり。全国どこでも8時間働けば普通に暮らせる賃金、最賃1500円を求めます」。

 

公務員も影響

 東三河労連の伊藤英一議長は、採用時給が低いエリアでは公務員給与の地域手当にも影響があると指摘。「県内で最大16%の手当格差があり、低いエリアでは採用されても辞退するなど実際に影響が出ています」

 若井和則愛労連副議長は「時給労働者だけではなく、地域の問題としても待ったなしの課題。1500円に引き上げることを前提に、今年度は少なくとも1000円以上を求める。内部留保への適正な課税によって財源を確保し、中小企業や自治体への支援をすすめ、地域間の賃金格差是正を進めるべきだ」とのべました。

(7月16日 しんぶん赤旗)