7月の参院選投票日まで2カ月を切ったもとで、日本共産党の志位和夫委員長は14日、神戸市、名古屋市を駆けめぐり、「『戦争か、平和か』――日本の進路がかかった大事な選挙です。日本共産党の躍進を必ず勝ち取らせてください」と力を込めて訴えました。多くの聴衆から盛大な拍手と歓声が起こりました。
9条を生かして平和をつくる四つの呼びかけ
志位氏は、ロシア・プーチン政権がウクライナを侵略し、危機に乗じて「9条を変えろ」の声が強まっているもとで、「憲法9条を生かして平和をつくる四つの呼びかけ」を行いました。
志位氏は第一に「国連憲章に基づく全世界の団結で、一刻も早く戦争を終わらせよう」と訴え。バイデン米大統領が「民主主義対専制主義のたたかい」と述べ、岸田首相が「価値観を共有するG7主導の秩序回復」を繰り返していることについて、「今大切なのは、あれこれの『価値観』で世界を二分することでなく、『ロシアは侵略をやめよ』『国連憲章を守れ』という一点で全世界が団結することです」「そのための9条に基づく外交努力を日本政府に強く求めたい」と強調しました。
志位氏は第二に「核兵器使用を絶対に許さず、『核兵器のない世界』をつくろう」と呼びかけました。核使用を止める唯一の保障は核兵器廃絶だと強調し、1日の党首討論で岸田首相ら多くの党首が「核抑止が大切だ」と発言したことを批判。「『核抑止』の間違った呪縛を吹き払って、核兵器禁止条約に参加する決断を求める」と力を込めました。
第三に、「危機に乗じた『戦争する国』づくりを力をあわせて止めよう」と訴え。「敵基地攻撃」「9条を捨てろ」の大合唱に対して、「いま日本が直面している最大の現実の危機は、日本が攻撃されていないのに、米国が軍事行動を始めたら、安保法制=集団的自衛権を発動して、自衛隊が米軍と一緒に『敵基地攻撃』で相手国に攻め込む。その結果、その戦火が日本に及んでくることです」と指摘しました。この道に進めば大軍拡が必要になるとして、自民党が軍事費をGDP(国内総生産)比2%以上、2倍にすると提言したことを告発。11兆円もの軍事費の財源は、消費税大増税か社会保障大削減かになることは明らかだとして、「危機に乗じて9条を改定し、日本を『軍事対軍事』の危険な道に引き込み、くらしを押しつぶす――こんな道は日本共産党の躍進で止めよう」と訴えました。
志位氏は第四に「9条を生かした外交で、東アジアを平和な地域にしていこう」と訴え。日本共産党が提唱する東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を紹介し、「日本政府がやるべきは、ASEAN=東南アジア諸国連合と協力し、東アジアを戦争の心配のない平和の地域にしていく9条を生かした平和外交です」として、「世界に誇る9条を守り生かそう」と呼びかけました。
その上で、「ロシアはもともと共産主義では」との声があるとして、「とんでもない」と強調。自身がロシア外務省から入国禁止措置を受けたことに触れ、「不当で愚かな決定です。同時に、日本共産党が最も手ごわい相手であることを相手もよく知っていることの表れです」と述べると、大きな拍手が起こりました。日本共産党が旧ソ連のチェコスロバキア侵略、アフガニスタン侵略などの覇権主義を「社会主義と無縁」と批判し、旧ソ連崩壊時には「もろ手をあげて歓迎する」と表明したことを紹介し、「世界平和のためにも日本共産党を伸ばしてほしい」と訴えました。
物価高騰からくらしまもる――カギは「やさしく強い経済」
次いで志位氏は「くらしのかかった選挙です」と強調しました。深刻な物価高騰の原因について、「新型コロナ」と「ウクライナ侵略」だけでなく「異次元の金融緩和」による異常円安が大きな原因だとして、「アベノミクスが招いた大失政です」と告発。同時に、「物価高騰でどうしてこうも暮らしが苦しいのか」について、賃金が上がらない、年金が低過ぎる、教育費が高すぎるとして、「新自由主義が日本経済を『冷たく弱い経済』にしてしまった結果です」と強調し、「根本的な治療法は、新自由主義を終わらせて、『やさしく強い経済』に大転換することにあります」として、五つの提案を訴えました。
一つは、消費税5%への緊急減税です。志位氏は、物価高騰のもと生活必需品が4・5%も高騰し(3月)、低所得者ほど打撃を受ける一方で円安で大企業は最高の利益を上げているとして、「富裕層と大企業に税金を払ってもらい、消費税は直ちに5%に。インボイスは中止を」と訴えました。
二つは、政治の責任で「賃金が上がる国」にすることです。大企業への内部留保課税の共産党の提案を紹介し、(1)大企業の不公平税制をただす(2)「賃上げ」「グリーン投資」を促進する(3)税収は最低賃金1500円に―と訴えました。
三つは、社会保障と教育予算を経済力にふさわしく充実することです。6月からの年金支給削減をストップさせて底上げさせるとともに、大学の学費を半分にし、入学金は廃止すること、憲法26条の「義務教育は無償」の規定にもとづき、家計の重い負担となっている給食費の無償化を進めることを強く訴えました。
四つは、気候危機打開の本気の取り組みです。日本のエネルギー自給率は先進国では最低水準だとして、省エネと一体に100%国産の再生可能エネルギーの大規模の普及に全力をあげるべきだと強調しました。
五つは、ジェンダー平等の視点を貫くことです。男女賃金格差は年収240万円だとして、この解消はジェンダー平等社会の土台であり、「強い経済」にもつながると訴えました。
志位氏は「どれも当たり前ですが、本気で取り組もうとすれば、財界中心の政治のゆがみに正面からメスをいれる改革が必要です」として、「日本共産党を伸ばすことが実行する最大の力になります」と訴えました。
最後に、日本共産党は党創立100年になるとして、「戦前、軍国主義が国民の自由を圧殺し侵略戦争に突き進んだ暗い時代から、命がけで『自由』と『平和』を貫いた唯一の党です」「将来にわたって『自由』と『平和』を豊かに発展させ、花開かせることが綱領に明記した私たちの大方針です」と強調。「『自由と平和。まっすぐ、つらぬく。』―私たちの党の根本理念を訴え抜いて必ず躍進を果たす決意です」と訴えると、大きな拍手と歓声が湧き起こりました。
名古屋 すやま・たけだ氏
名古屋市の「オアシス21」前で、志位氏は、すやま初美選挙区予定候補の勝利を訴え。「『誰もが尊厳を持って生きられる社会』が信条です。女性も、男性も、多様な性を持つ人々も、障害のある方も、外国にルーツを持つ方も、みんなが尊厳を持って生きられる社会をつくろう。この願いを、すやまさんに託してください。自民・公明・維新・国民民主の改憲4人組に正面から立ち向かう確かな立場をもつのは、すやまさんをおいて他にありません」と力を込めました。
たけだ良介参院議員・比例予定候補は、大企業いいなりで規制緩和を進める新自由主義の経済政策の転換を訴え。環境を破壊しトンネル工事の安全性の担保もなく進められるリニア中央新幹線工事の中止を主張し、「コロナで苦境にあえぎながら地域の公共交通を担っている人たちへの抜本的な支援こそ必要だ」と強調しました。
すやま予定候補は「ジェンダー平等の社会でこそ経済も強くなる。『やさしく強い経済』を実現させよう」と訴えました。
(5月15日 しんぶん赤旗)