名古屋市で、河村たかし市長に対する、「敬老パス」の利用回数制限撤回を求める、新たな署名運動が始まりました。「敬老パスと地域交通拡充で元気な名古屋をつくる会」が7日に開いたスタート集会には市民31人が参加しました。
「敬老パス」は、これまで名古屋市内在住の65歳以上の人が一定額の負担金を支払えば、市営地下鉄・バスに何回でも乗れました。しかし今年2月から私鉄への利用範囲拡大に合わせて年間730回までに利用が制限されました。
同会は昨年、回数制限の撤回を求める署名2万3460人分を河村市長の提出。市民の声に押された河村市長は昨年の市長選で「乗り継ぎは1回にカウンとする」と事実上の大幅緩和を公約。しかし「できるだけ早くやる」というだけで公約を具体化せず、回数制限を始めました。
今回の署名は、河村市長に「公約に責任をもち、さらに回数制限を撤回するよう求める」もの。8月末を期限にしています。
主催者あいさつで小池田忠共同代表(大高南学区区政協力委員長)は「病院や買い物などで1回乗り換えれば2カウント。早い人は半年間くらいで730回に達し、その後は多額の自己負担を強いられる。利用制限の撤回を求め、市内全域で署名を広げよう」と訴えました。
共同代表の早川純午医師が「高齢者の健康な暮らしと敬老パスの役割」と題して講演。高齢者社会を迎え、外出は健康増進のため大切であり、増えている高齢独居者の社会的孤立を防ぐため社会参加が必要だと指摘。「回数制限は高齢者の健康増進、社会参加を削ぐことになる」と強調しました。
緑区の男性は「持病の治療のため中川区の専門病院にバス・地下鉄を2回乗り継いで週4日通院している。秋には回数オーバーとなり、医療費に加え交通費がかかる。病院に行くのを控えねばならない」。パート労働者は「勤務先から通勤費が出ないので回数を超えたらパート収入より交通費が多くなる。パートをやめるしかない」と話しました。
南区の男性は「4月からバス路線が改編になり、以前行けた区役所には乗り継がねばならなくなった」。守山区の男性も「守山区は市内16区で唯一、地下鉄がない。バス路線の拡大・充実も市に求めたい」と語りました。
(5月11日 しんぶん赤旗)