ニュース

統廃合やめ少人数学級に 県立高校再編考える県民集会

県立高校の統廃合をめぐり活発に議論した集会=13日、愛知県愛西市

 「高校の統廃合でなく少人数学級の充実を」―。愛知県教育委員会が昨年12月に突然、県立高校再編の構想を発表し、「学校統合」や「学科改編」を始めようとしており、教職員や地域住民は、構想の撤回を求める運動に取り組んでいます。

 「憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会」は13日、県立高校再編問題について考える県民集会を愛西市で開催。廃校対象の高校卒業生や教員、地域住民ら72人が参加しました。

■ 「序列化」の恐れ

 構想では2023年度から、稲沢東高校(稲沢市)、尾西高校(一宮市)を廃校し、稲沢高校(稲沢高校)に統合。海翔高校(弥富市)を廃校にして津島北高校(津島市)に統合します。

 県高等学校教職員組合(愛高教)の仲幸秀書記次長が基調報告し、構想の問題点を指摘しました。構想が密室で作成され、地域や学校現場の声が十分反映されていないこと、全国最低レベル(19年度全日制高校一人当たり教育費47位)の教育予算について改善する姿勢がみられないこと、「序列化」や「人材づくり」につながる「学科改編」になる恐れがあることです。「大規模校を温存したまま、郡部の小規模校をさらに統廃合するのは疑問。再編理由に中学校卒業者減少をあげているが、少人数学級をすすめれば統廃合をする必要がない」と強調し、再編撤回を求める署名運動の協力を呼びかけました。

■ 力合わせ撤回へ

 廃校対象校の卒業生や教員らがリレートーク。尾西高校卒業生は「家から近い地元の高校なので通学時間が短く疲れなかった。部活練習時間も十分にとれた」、海翔高校卒業生は「2005年開校からわずか17年。老朽化した県立高校が多い中、海翔高校の校舎や福祉科の実習設備など十分に使える。廃校対象校を決めた基準がわからない」と話しました。

 教員は「在校生は卒業まで現校舎で学ぶが、新規入学者の募集は停止になる。後輩が入学せずクラブ活動など支障がでる」。尾西高校の地元住民は「旧尾西市は一宮市に合併してから市街地は寂れる一方。尾西高校が無くなると一層ひどくなる。地域活性化に逆行している」と語りました。

 参加者から「海翔高校が廃校になると弥富市、蟹江町、飛島村の海部南部地域に県立高校が無くなる。地元に高校が無くなると遠くの高校に進学し通学費が高額になる」。「勤務校は雨漏りする教室など施設・設備が老朽化しているが改修予算がつかない。統廃合をやる前に解消を急ぐべきだ。財政指数全国2位に見合った教育予算にすべきだ」。「名古屋市が市立若宮商業高校の廃校方針を発表した時、教職員、卒業生、地域住民が共同して運動し撤回させた。力を合わせ運動し撤回させよう」などの意見が次々と出されました。

 愛知の会代表代行の大橋基博・名古屋造形大学特任教授は「25年度以降も県立高校の再編が進み、統廃合対象校はどんどん増える。子どもたちの学びを保障するため、県立高校の統廃合の撤回を求め、学習や署名を広げよう」と訴えました。

(2月19日 しんぶん赤旗)