たけだ良介参院議員が初質問で取り上げたのはリニア中央新幹線の問題でした。
2016年10月20日の環境委員会で、トンネル工事が着工間近と報じられる長野県大鹿村の残土置き場を追及。現地を何度も視察し、住民合意がないまま建設に突き進むJR東海の姿勢を批判します。
■ 残土の危険指摘
大鹿村では1961年に「三六災害」が発生しています。台風接近と梅雨前線停滞による豪雨で山が崩落し、32戸が流失、死者40人を出す大規模土砂災害(災害全体では99人が死亡)でした。だから住民は「リニアの残土が積み上げられれば大雨などで崩れ落ちてくるのではないか」と不安を訴えます。
前代未聞の大量の残土を発生させるリニア工事。たけだ議員は「過去に大規模災害が起きたと分かっている地域に残土を置き、災害が起きたらどうするのか」と迫ります。環境相は「一般論でいえば憂慮すべきこと」と答弁しました。
19年11月5日の国土交通委員会で、中央アルプストンネル山口工区(岐阜県中津川市)の非常口工事で発生した土砂崩落事故について、工事を認可した国の責任で事故原因を究明するよう追及。現場の地質調査結果などの資料配布をJR東海は行っていません。それでは事故の詳しい検証はできないとして国がデータをつかみ公表するよう求めました。
20年12月1日の国交委員会では、リニアそのものがコロナ後の社会に必要かどうか迫ります。リニアは、東京の品川から名古屋、大阪を結ぶ計画で総事業費9兆円、国から3兆円もの財政投融資がされている国家的事業です。たけだ議員は、コロナの影響で新幹線をはじめ鉄道利用者が減り、3兆円もの財政投融資の返済計画を根底から揺るがしていると指摘し、償還確実性の再検証を追及。国交省は需要を起こしていくと述べましたが、再検証の必要性は否定できませんでした。
■ 無責任さ鮮明に
21年5月18日の国交委員会では地下40㍍以深の「大深度地下」工事の問題で、安全を保障する法令上の根拠があるのかと追及。国交省に法令上の規定がないことを認めさせ、国も安全を担保できない無責任な工事であることを浮き彫りにします。
同年10月、岐阜県中津川市の瀬戸トンネル工事で、リニア工事で初めて作業員が死亡する事故が発生。続いて長野県豊丘村の伊那山地トンネル工事でも作業員がけがをする事故が起きました。
たけだ議員はすぐさま党県議、村議らと豊丘村の事故現場を訪れ、JR東海に安全を担保できない工事の中止を要請しました。調査に同行した無所属の壬生眞由美村議は、「十分な環境影響評価や地質調査もなく残土の処分先も決まらないまま工事を進めるJR東海の異様さは枚挙にいとまがない。今回の事故は開通ありきの工期で進められた工事の犠牲だ」と憤ります。
ただ、地元議員として「工事着工以来、少々あきらめムードが自分の中にあった」とも語ります。現地調査にきた、たけだ議員が国交省に求めた説明の内容をメモですぐ共有するなど、対応の早さに「頼もしさを感じました」。「たけだ議員の行動力を目の当たりにして非力ながら諦めず、これからもリニア問題に向き合っていきたいと思います」
(次回は4日付の予定)
(2月2日 しんぶん赤旗)