台風19号の被害を深刻にしたのは千曲川や沿川の決壊でした。堤防を越えた泥水が一挙に濁流となって住宅や農地に流れ込み、長野県では2200㌶(東京ドーム約470個分)が浸水しました。県内の死者は23人(災害関連死を含む、2021年9月6日現在)。8300棟以上が損壊被害を受けました。
決壊した堤防近くの長野市豊野地区は、千曲川の支川(浅川)の水が千曲川に流れきらずに内水氾濫が起こる常習地域。水害対策のため70㌢程度の盛り土をして家を建てる人も多くいました。
■ 堤防強化に光
たけだ良介参院議員は被害が広がった背景に堤防強化を怠ってきた国の治水対策があるとして政府に再検証を求めます。
2019年11月5日の国土交通委員会。浅川ダムの下流で大雨が降りダムが機能しなかったことや、遊水機能を果たしていたくぼ地に盛り土して新幹線の車両基地をつくったことが被害を深刻にさせたと指摘します。
地元住民が再三、堤防強化と遊水地の整備を求めてきたのに、ダム建設を優先してきた政府の治水対策を再検証するよう追及する、たけだ議員。国交相は「これまでの対策を検証しなければならない」と答弁しました。
20年3月19日の災害対策特別委員会では、政府が密かに闇に葬り去っていた堤防強化工法に光をあてます。千曲川の堤防再建工事については、決壊しにくいように堤防上面をアスファルトで舗装し、川側・住宅側をコンクリートで覆う被覆型の強化法を検討するよう求めます。
この被覆型のアーマーレビー工法やフロンティア堤防は、以前から研究されていましたが、堤防強化よりもダム建設優先の治水対策に政府が舵を切ったため、闇に葬られていた技術です。
被災住民の切実な願いを受けた、たけだ議員の追及に、国交省は遂に被覆型堤防を検討すると表明。アーマーレビー工法で堤防が再建されるきっかけとなる重要な答弁でした。
■ 「心強かった」
さらに3月26日の予算委員会では決壊の真相に迫ります。住民や専門家と何度も現地調査して撮影した決壊部から噴き出した砂の写真を示し、石を積んで堤防が作られていたという住民の証言も紹介。決壊部が崩れやすい礫で出来ていたことを立証し、「起こるべくして起きた人災だった」と追及。国交省は人災とは認めなかったものの、「決壊部に礫はない」と強弁してきた答弁を一転させ、礫があったことを認めました。
自宅床上70㌢が泥に浸かった長沼地区の住民(70)は、「たけだ議員が市民とともにシンポジウムや現地調査を重ね堤防強化につなげてくれ、心強かった」と話します。
たけだ議員は、「既存の制度の枠内に支援策を押し込めるのではなく、被害実態に合わせた支援を求めるのは当然のことです。災害公営住宅の問題など課題はまだ残っています。被災者が主役になった生活・生業の再建ができるよう全力をあげたい」。
(次回は22日付の予定)
(1月19日 しんぶん赤旗)