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特養ホーム存続を 要請署名がスタート

特養の存続を求め訴える施設利用者の家族ら=13日、名古屋市熱田区

「名古屋市内で唯一の公設・公営の特別養護老人ホームを廃止しないで」―。河村たかし市長あての特別養護老人ホーム「厚生院」(名東区)の存続を求める署名のスタート集会が13日、名古屋市内で開かれました。「名古屋市厚生院を守る会」(代表・早川純午・元愛知民医連会長)が主催。医療や介護関係者、施設利用者の家族ら30人が参加しました。

 厚生院は公設公営の特別養護老人ホーム(定員300人)です。同一施設内には付属病院(一般病床140床、療養病床64床)、生活保護法による救護施設(定員80人)が併設され、医療・介護・福祉サービスを一体でおこなっています。

 名古屋市は昨年、特別養護老人ホームを2027年度末に廃止する方針を決め、今年度から新たな入所申し込みを打ち切りました。付属病院は名古屋市立大学病院(瑞穂区)に、救護施設は植田寮(天白区)に統合する予定です。

 集会で守る会事務局の吉田孫之氏は同会が9月に実施した居宅介護支援事業所(765施設)へのアンケート結果を報告。133施設から回答があり、約3割の事業所が「医療ケアが必要な人、認知症の症状がある人も受け入れてくれる」などから厚生院を利用。家族など身元保証人がなくても厚生院は受け入れてくれるので「廃止されたら困る」と答えたのは85%だった述べました。

 厚生院の看護師は「民間の特養ホームはお金のある人しか入れない。低収入の人は難しい。年金者や生活保護者も入所できる厚生院は必要」。家族が入所している杉本一夫さんは「10カ所以上の民間施設に申請したが、家族に認知症と持病があり断られた。厚生院だけが受け入れてくれた。市から家族に十分な説明がない。廃止されたら入る施設がない。市は27年度末までに家族が死ぬのを望んでいるのか」と怒りを込めて発言しました。

 コープあいち居宅介護支援事業所でケアマネジャーをしている柴田啓子さんは「民間施設では短期のショートステイでも無年金とか痰(たん)吸入など医療介助が必要な人は受け入れてくれない。自宅での介護者は心身とも疲労が蓄積している。介護者を休ませるためにショートステイは必要。病院が併設している厚生院はなくてはならない」。ケアマネジャーの男性は「多くの特別養護老人ホームでは夜間に看護師ら医療関係者が勤務していない。医療を必要とする人の入所は困難だ。厚生院は病院を併設しているので緊急時も安心」と語りました。

 市長への署名は年内に集約し、来年1月に提出を予定しています。19日から始まる名古屋市議会へも存続を求める請願を提出します。

(11月16日 しんぶん赤旗)