「守りたい命があるだから増員」―。愛知県医療介護福祉労働組合連合会は5日、県庁で記者会見し、コロナ禍での医療介護現場の過酷な実態を告発し、「第6波」に向けた人員確保と医療機関への支援を求めました。
愛知県医労連には県内の医療・介護・福祉労働者1万2千人が加盟しています。
会見で西尾美沙子副委員長は「コロナ禍を教訓に医療介護制度の抜本的な転換が必要です。人員確保のためにも危険手当の支給や定期的なPCR検査が求められています」と強調しました。
矢野彩子書記長は、県医労連が実施した訪問アンケートの結果や医療介護労働者の声を紹介しました。
10月に行った加盟施設(11病院が回答)へのアンケートでは、看護師の離職率(昨年度)が平均9・62%(最小2・5%、最大17・6%)でした。新人看護師では27%にのぼる病院もありました。「実習ができず、経験も不足しているなかで過酷な労働環境にさらされ、悩みを相談できる場も少ない。相談できる場が必要。医療提供体制の抜本的改善を」と話しました。
名古屋市内のある病院がとったアンケートに「仕事量が増えたのに給料が下がるのは困る」、「心も体もボロボロなのに、何の手当てもない」、「コロナ陽性患者に防護服なしで対応しても、濃厚接触者にならずPCR検査もない」など悲痛な叫びが寄せられたことも報告しました。
3人の労働者が現場の窮状を訴えました。看護師の池田幹人さんは、発熱外来での患者対応を紹介し、「『第5波』のとき、発熱外来患者の半数以上が陽性だった。リスクに晒され、倒れそうになりながら働いても危険手当がない」と強調。「勤務先は中小病院でコロナ患者の入院を受け入れておらず、県医療従事者応援金の支給対象外。一般外来患者も減り、病院の経営はひっ迫している。入院受け入れの有無で線引きするのはおかしい。応援金の制度改善と減収補てんを求める」と話しました。
介護福祉士の鈴木正さんは「介護業界の賃金は他業種に比べて、もともと圧倒的に低く、夜勤しなければ生活ができない。人手不足による一人夜勤も多く、夜間に活発になる複数の利用者の対応で朝を迎える。賃金増と人員不足解消が必要」。訪問看護師の原真理子さんは「耳が遠い患者にはマスクやフェイスシールド越しの会話は難しい。介護施設には定期的なPCR検査があるが、病院にはない。感染したり、させたりへの不安は高まるばかりで、そのストレスが各所に影響し、働けなくなる仲間もいた。公費での定期的な検査を求めます」と訴えました。
矢野書記長は「県は看護学校を減らし、奨学金制度もなくしている。看護師になっても、低賃金や過酷な労働環境で退職する悪循環に陥っている。看護師の長期的な養成と人員増とともに、賃金の確保で働き続けられる労働環境にしてほしい」と語りました。
県医労連は会見後、医療・介護従事者増員と待遇改善を求めて県に要請しました。
(11月10日 しんぶん赤旗)