愛知県内のトヨタ自動車やグループ企業の労働者らでつくるトヨタ系革新懇と西三河地域の革新懇が共同で25日、学習講演会「EV化待ったなし。カーボン・ゼロと自動車産業」を刈谷市で開きました。トヨタの現役労働者や市民ら50人が参加しました。
■ 温室ガス削減へのEV化
刈谷革新懇の高木礼次さんが開会あいさつし「地球環境を守るため、二酸化炭素などの温室効果ガスを減らす『カーボン・ゼロ』は国際的に緊急課題になっている。自動車産業の排出量も大きなウエイトを占めており、EV(電気自動車)をすすめている。下請け・関連企業、地域経済がどのような影響を受けるのか、学習を力に雇用と地域経済を守る運動を広げよう」と訴えました。
■ 国主導の対策を
名城大学の井内尚樹教授が講演しました。井内氏は各国のエネルギー転換・脱炭素化の取り組みを紹介し、ディーゼル車、ガソリン車の新車販売禁止方針にともなうEV化など自動車産業界に大きな変化が起こっていることを指摘。トヨタのEV化の進展状況やトヨタの「まつづくり」にもふれ、ヨーロッパとの違いなどを報告。「自動車産業に依存する三河地域はEV化の影響が大きい。『ものづくりとまちづくり』を総合的に考える必要がある」と語りました。
トヨタの元労働者が後輩から聞いた話を紹介し、雇用に不安を感じている。社内のEV化研修会で『うちの工場の仕事の大半がなくなる。今後のことを考えろ』と言われたという。どうすればいいのか」と質問。井内氏は「脱原発、脱石炭を打ち出したドイツでは政府主導で、原発や炭鉱で働く労働者にセカンドキャリアトレーニングを実施。次の就労支援もしている。日本も『エネルギー政策の転換』を主張するなら、影響を受ける労働者個人に任せるのではなく国主導でやるべきだ」と答えました。
■ 中小の技術は宝
「EVになればエンジンがなくなり、部品が少なくなる。部品関連の下請け会社など中小企業は減少する。EVに対応できない会社は切り捨てられるでは」の声も出されました。井内さんは「中小企業がもつ、プレス、研磨など基盤技術は『ものづくり』の宝。EV化になっても変わるものではない。他の分野で十分に活かせる」と激励しました。
岡崎市の参加者から「山間地では脱炭素社会にどうすればいいのか」と問われ、井内氏は森林資源を利用して、自然エネルギー社会をつくっている岡山県西粟倉村(にしあわくらそん)の例を紹介し、「太陽光発電、小水力発電、木質バイオマスなど自然エネルギー生産を地域ぐるみでおこなうことが大切」と強調しました。
(7月28日 しんぶん赤旗)