■ 受診抑制 経営ひっ迫 外来患者の健康悪化懸念
愛知県保険医協会が12日に発表した「新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関への影響調査」(昨年11月診療分)で、8割近くの医療機関が前年同月比で外来患者数が減ったと回答。多くの医師が受診抑制による患者の健康悪化を心配しています。
調査は昨年3月診療分から始めて、今回が4回目。ファクス登録のある開業医会員(5332人)にアンケートを送付し昨年12月25日までに927件から回答がありました。
外来患者数は、前年同月(2019年11月分)と比べ、「減った」という回答が77・7%。昨年3~5月の結果より減少しているものの、依然として多くの医療機関が前年比で減少が続いています。診療科別では小児科、耳鼻科の減少幅が大きくなっています。
医院経営について、「新型コロナ対策で支出は増えるが収入減。このまま続けば経営がなりたたない」、「コロナが収束しなければ、規模縮小や給与カットを考えねばならない」と答えています。
受診控えでは「高血圧や糖尿病患者で薬がなくなり、症状が悪化して来院。入院治療することになった」、「病院に来ないので、がんの発見の遅れや病状が進行する」、「特養老人ホームへの訪問が激減し、半年以上のケアなし期間があり、ほぼ全員の患者が虫歯や歯周病が悪化した」など深刻です。
医療スタッフの雇用も大変です。「コロナ感染を恐れるため看護師の補充に困っている」、「パート看護師の大半が退職。求人しても応募が極めて少ない」、「看護師増員のため看護学校運営に支援金を出してほしい」の声があがっています。
県保険医協会の日下紀生事務局次長は「愛知県も緊急事態宣言の対象地域になり、受診抑制が広がり患者の健康悪化が憂慮される。必要な受診や健診・予防接種を受けられるよう行政の啓発が必要。医療機関への感染拡大防止等支援金は手続きが煩雑で半数近くの医療機関に届いていない。地域医療を第一線で支える医療機関への国、自治体の迅速な支援が急務」と話しています。
(1月19日 しんぶん赤旗)