愛知県社会保障推進協議会は9月27日、10月20日からの自治体キャラバンを前に、国保改善運動の学習交流集会を名古屋市内で開きました。会場には地域や団体の代表者ら50人、Zoomで静岡、三重などから10人が参加しました。
森谷光夫議長は、「安倍政治を引き継ぐ菅首相は、何よりも『自助』を強調し、社会保障の抑制、格差と貧困を広げる政策をコロナ禍でも進めようとしている。人権と権利を保障する国保の改善へ運動を広げていこう」と主催者挨拶。
各地の取り組みで、名古屋市が国保滞納者への制裁方針を転換し、資格証明書の発行を原則廃止したことを報告。愛商連常任理事の三浦孝明さんは「8月の区役所交渉のなかで明らかになり非常に驚いた。私たちの地道な運動が実った」と強調。滞納している人たちは払いたくても払えない、生活が困窮している人が大半だとして、「保険証がなくて病院に行けず、命を落とすことがあってはいけない。引き続き改善を求めていく」と話しました。
日本共産党の岡田ゆき子名古屋市議は、2002年から「1年以上滞納者」から保険証を取り上げ、資格証明書を発行する方針になったと指摘。深刻な実態の告発、粘り強い市交渉と市議会での論戦を紹介し、「資格証明書に納付率を上げる効果がないことを市に認めさせた。納付できないそれぞれの事情にしっかり向き合い、相談・支援することが行政に求められている」と述べました。
愛知民医連の渡辺智史さんは、全国の民医連711事業所で、経済的理由による「手遅れ死亡」が51件(2019年)あったと述べ、「コロナ禍でいつ誰が困窮するかわからない。誰もがお金の心配なく医療を受けられるよう保険料の大幅引き下げが必要」と語りました。
県国保運営協議会公募委員の西村秀一さんは「国保料(税)を決めるのは市町村であり、県の運営方針でも尊重されている。国保引き下げの署名を少しでも多く集め、市町村議会に強く働きかけていこう」と呼びかけました。
交流に先立って、学習企画として長友薫輝・三重短期大学教授が「国保の現状と2021年運営方針改定に向けた私たちの課題」と題して講演しました。
(10月2日 しんぶん赤旗)