新型コロナウイルス感染症の影響で演劇や音楽などの公演が相次いでキャンセルされ、甚大な被害を受けた文化芸術団体。だれもがもれなく受けられる制度を求める声が絶えません。
■ 損失補償なく
「キャンセルになった公演への補償がない」「感染者が広がっている中で投資できるわけがない」―。
名古屋市で8日に開かれた集会「コロナ危機と文化」(日本共産党愛知県文化後援会、愛知県委員会の共催)では、俳優や舞台スタッフなど幅広い文化芸術団体・個人が切実な実態を訴え、支援の拡充を求めました。
国会では「文化を守れ」の世論と運動を受けて、第2次補正予算で約560億円の文化芸術支援が組まれました。509億円規模の「文化芸術・スポーツ活動の継続支援」は、これから公演などを行うフリーランスの芸術家・技術スタッフ、小規模団体の活動費を補助。1次補正予算にも、中止となった鑑賞教室等の実施支援に13億円の予算が付けられています。
ただし、これらの制度は、投資の一部を助成するものでしかなく自粛によって被った損失を補償するものになっていません。
劇団関係者は、「公演が秋までほとんどキャンセルされたがキャンセルへの補償がない」「会場の50%以下の客入れでは、チケット収入で会場費や経費を賄えず八方ふさがりだ」と話しました。
劇団の代表は、「公演出来る状況になったとき、胸を張って演じられるようPCR検査の体制を拡充してほしい」。民族芸能の舞台を企画・上演する女性は、「行政として『文化は必要だ』という位置付けをしっかりして、支援策を講じてほしい。感染者が増えているなかで投資なんか出来ない」と強調しました。
照明の技術者は、「仕事が10月まで2本しかない状態でわずか2本のために何十万という資材などへの投資はしない。制度が実態に即していない」と指摘。俳優の男性は「文化を下支えしている若手への支援が必要だ」と訴えました。
■ 文化は不可欠
演劇鑑賞会の会員は、「公演中止が相次ぎ、会員をやめる人がでている。つぶれてしまう観賞会も出てくるのでは、と不安」。音楽関係者は会場の使用料について「定員を半数に制限するなら会場費も半額にすべきという運動をしていきたい」と話しました。
80代の女性は、「文化の対極は戦争です。文化がおろそかにされていることに危機感がある」と話しました。
日本共産党の本村伸子衆院議員は、「一緒に声をあげ、実態に合った制度となるよう拡充を求めていきたい。そもそも日本の文化庁予算(年度当初)は国家予算の0・1%と少なすぎます。『文化芸術は生きていく上で不可欠だ』という位置づけを持って予算を増やす政治に変えていきたい」と話しました。
(8月18日 しんぶん赤旗)