愛知県のトヨタ自動車やグループ企業で働く人らでつくるトヨタ系革新懇は5日、刈谷市内で「大企業の社会的責任について考える」集いを開きました。労働者や市民ら25人が参加しました。
30数年にわたりトヨタ自動車を取材してきたジャーナリストの岡清彦氏が「『生きるか死ぬか』のトヨタの職場を考える」と題して基調報告しました。
岡氏はトヨタが「100年に一度の大変革期(豊田章男社長)として進めるEV(電気自動車)、自動運転開発の状況を紹介。リーマン・ショックとコロナ危機との生産台数や営業利益の比較し、「生産台数は減っても2020年度の営業利益は黒字になる見通し。材料費や人件費などを大幅に圧縮した結果」と強調。「資本主義のもとで格差が生れるのはなぜか。マルクスは『資本論』で格差拡大の根源は利潤第一主義の資本主義にあると指摘している。豊田社長が煽(あお)る危機感について活発に論議しよう」と呼びかけました。
現役の労働者や退職した労働者らが次々に発言。「トヨタは6月から生産を本格的に再開したが、2次、3次の下請けの受注は少なく経営が厳しい。下請けの期間工や技能実習生は雇い止め。下請けを大切にしなければならない」、「EVになればエンジンがなくなり部品の4割が減少する。部品関連の下請け会社と労働者の3分の1が必要なくなる」、「EV、自動運転に対応できる力や体力のない下請けは切り捨てられる。効率だけを追求するのは問題」と話しました。
岡氏は「ドイツやフランスの大手自動車会社の労働者は原則的に正社員。労働時間は週48時間、有休休暇30日間取得が厳格に守られている。日本でできないことはない」と助言。参加者が「欧州にあるトヨタの工場労働者はその条件で働いている。日本のトヨタ工場でも欧州なみのルールある職場にすべきだ」、「労働条件改善とともに差別、パワハラなどをなくし『トヨタで働いてよかった』と言える職場作りにがんばる」と応じました。
豊田市の男性は「トヨタは輸出戻し税、企業立地優遇税制など優遇されている。正当な課税をおこない、社会に還元すべきだ」。日本共産党の牛野北斗知立市議は「知立団地の住人の半分近くが外国人。多くが下請け会社で働いている。コロナ禍で解雇や雇い止めにあった人からの相談が増えている。史上最高の内部留保を増やし続けている大企業のあり方が問われている」と語りました。
(7月10日 しんぶん赤旗)