愛知県内で当時19歳の娘に性的暴行を加えたとして、準強制性交等罪に問われた父親の被告の控訴審判決公判が12日、名古屋高裁でありました。堀内満裁判長は一審無罪判決を破棄し、一審の求刑どおり懲役10年を言い渡しました。
昨年3月の名古屋地裁岡崎支部の一審判決は、同時期に相次いだ性被害事件の無罪判決の一つ。全国で性暴力に抗議するフラワーデモが広がるきっかけになりました。
堀内裁判長は判決で、娘は中学2年頃から父親に性的虐待や暴力を受け、抗拒不能(抵抗できない状態)だったと認定しました。また、父親が反省の態度を示していないことも厳しく批判しました。
一審判決は父親の行為を「同意はなく、きわめて受け入れがたい性的虐待」だったと認定。娘を「精神的支配下に置いていた」ことも認めながら、抗拒不能とするには「合理的疑いが残る」として無罪としていました。
これに対し、性被害の当事者や識者から「性被害の実態を理解していない」などと批判が噴出。「抗拒不能に乗じた」ことなどが立証されないと処罰できない現行刑法の改正を求める運動が広まりました。
名古屋でのフラワーデモ呼びかけ人の具ゆりさんは、「原告女性だけの問題ではない。これまで性暴力で声をあげられなかった人も、この判決で、自分が悪かったのではないと勇気づけられるのでは」と語りました。
現在22歳の娘は、弁護士を通じて「やっと少しほっとできる気持ちです。フラワーデモなどの活動を見聞きすると、私の訴えは意味があったと思う」とコメントしました。
(3月13日 しんぶん赤旗)