ニュース

不要IC 建設やめて 日進の住民ら市長に署名提出

「スマートICはいらない」と市役所前でスタンディング行動をする市民ら=1月28日、愛知県日進市

 愛知県日進市が強引に進めるスマートインターチェンジ(SIC)建設計画に対し、周辺住民は「必要性がない」「地元合意がない」「環境が悪化する」として、建設中止を求める署名運動を提出しました。

 1月28日には、近藤裕貴市長あてに2076人分、国土交通大臣あてに2042人分の署名を提出。市役所前では約60人がスタンディングに参加し、「スマートICはいらない」とアピールしました。

近藤市長(右)に、建設反対署名を提出する原田さん(中央)と田中さん=1月28日、日進市役所

■ 近くに既存IC

 市の計画では、日進市の東名高速道路東郷パーキングエリア(PA)に設置します。上り下りそれぞれ一般道につながる道路をつくり、ETC専用ICとなります。東名三好ICからわずか2・2㌔しか離れていません。

 概算事業費は、土地代を除いて22億~26億円。このうち市は一般道側の5億~7億円を負担、残りは中日本高速道路が負担します。2024年度末の完成を予定し、30年には一日2600台の通行を見込んでいます。

 市の資料では、周辺企業や観光客のアクセス性が向上し5分程度の時間短縮、一般道の渋滞解消効果が見込めるとしています。

 萩野幸三前市長が2015年の選挙公約に掲げていたものですが、市が具体的に基本計画を公表したのは19年3月末です。8月には前市政を引き継いだ近藤市長が国交相に設置許可を申請、9月に許可されています。

 地元住民には、突然の話でした。市の計画によって初めて、牧場の敷地が大幅に削られ、立ち退きを迫られる家がでてくることを知りました。病院や老人保健施設などが立ち並ぶ道路が大幅に拡幅されアクセス路になることや、病院の前にある桜並木が伐採されることも。地域の住民生活に多大な影響があることが分かり、「東郷PAスマートインター計画の改善を求める会」を結成しました。

 共同代表の原田衛さんは、昨年4月に自宅のすぐ南側をランプウエーが通ることを知りました。高さ約5メートルの擁壁と3メートルの防音壁が現れることになります。原田さんは「市に詳細な図面を求めたところ、しぶしぶ応じるなど、対応が不誠実だ」と批判します。

■ 「敷地削られる」

 共同代表の田中充江さんも「計画通りだと、自宅敷地が削られる」と不安な表情をみせます。

 住民らは、一般道の渋滞について、朝のラッシュ時1時間程度しか起きておらず、交差点の改良などを検討すべきだと主張しています。

 予定地に隣接する住宅団地の住民は「豊かな自然環境が気に入り、引っ越してきた。今でも通り抜け交通があり、スマートICができたら、さらに増える。多くの住民が反対している」と話します。

 署名用紙には「近くに三好ICがあるので必要ない」「わずか数分の短縮のためにかける税金ではない」「地域のバスのほうが大事」「子どもの安全な通学路をつくって」などの意見が書き込まれています。

 住民は市側の対応も批判しています。地域説明会を求めても、個別の説明しかしないのです。原田さんたちが署名を提出した日も、近藤市長は、市民やマスコミがいるにもかかわらず、「これ以上の話は、別の部屋で個別にしよう」と言いだしました。

 原田さんはこう強調しました。「市長の対応は、怒りを通り越してあきれた。しかし、地元としては必要ないもの。体がもつ限り反対していく」

 日本共産党は「ムダで住民合意のない計画は中止を」と訴えています。

(2月5日 しんぶん赤旗)