愛知県内の生活保護受給者20人が国や名古屋市など4市を相手取り、引き下げの取り消しや国家賠償を求めた訴訟(愛知生存権裁判)の最終弁論が27日、名古屋地裁(角谷昌毅裁判長)で行われ、結審しました。約130人の支援者がかけつけました。
21回目の口頭弁論には、原告2人が再度、陳述しました。
刈谷市の男性(65)は「目が見えず、生活にはパソコンが必要。壊れたら生活できなくなるが買いかえるお金はない。引き下げに絶望を感じた。公平な裁判と二度と同じような裁判が起きないよう制度を見直してほしい」。豊橋市の女性(76)は「風呂も入れず、服も買えない。米は週に2合。思いつく限りの節約はした。難聴だが補聴器も買えない。受給者の切実な声を聞いてほしい」と話しました。
森弘典弁護士は「生活保護利用者の生活実態から離れた数字、計算が重視され、引き下げられた。国民に保障された生存権の内容が後退させられ、はく奪(侵害)されようとしている」とした上で、「受給者の生活実態を真摯(しんし)に受け止めた公正な判断を」と裁判所に求めました。
報告集会には会場に入りきらないほどの支援者、各地の原告や弁護士、マスコミが参加。内河惠一弁護団長は、「国は結論ありきで引き下げを決めた。この裁判で国の根拠がいかにおかしなものか、数字、方式で明確にした」と強調。森弁護士は、生活保護基準が住民税や国保料、介護保険料などさまざまな制度に連動すると指摘。原告の一人は「保護基準が上がることは国民全員の生活基準をあげることにつながる。国がやっていることは、国民同士を分断させることだ」と話しました。
生存権裁判は全国で1000人以上がたたかっています。名古屋地裁での判決が全国で一番早く、6月25日を予定。集会参加者は勝利を勝ち取ろうと「がんばろー」と声をあげました。
(1月29日 しんぶん赤旗)