厚生労働省が再編統合を促す424の公立・公的病院名を公表した問題で、9病院が名指しされた愛知県では、住民や医療関係者から不安と怒りの声が巻き起こっています。
社会保障推進協議会は7日に名古屋市内で開いた学習・交流会には、医療関係者、地域住民や地方議員ら60人が参加しました。
西村秀一・県社保協副議長は「地域の実情も考えない突然の発表は安倍政権のファッショ政治そのもの」と批判しました。
今年4月から市営から指定管理者制度に移行した、あま市民病院の職員は、住民がどのような病院を求めているかアンケートに取り組み1000人を超える回答があったことを紹介。「管理者には、市民から寄せられた切実な要望を伝え交渉した。その結果、医師が増え、婦人科を再開。病床稼働率が高くなり、診察予約は100%受け入れる体制が出来た。名指しされたが住民とともに地域医療を守っていく」と述べました。
碧南市民病院の看護師は「院長も市長も不安の打ち消しに奔走している。近隣の安城厚生病院、西尾市民病院と一緒に地域医療を守る検討をしているが、矢作川があるので災害時に交通がマヒし、『統合』は困難。築30年超の病院改修計画も名指しを受け、入札が延期になった。市民や患者の意見や要望をまとめ、病院を守る運動を広げる」と報告しました。
今回、医療圏100万人以上の病院は対象から除外されましたが、同様の状況のある病院は7つあります。東海病院(名古屋市千種区)の職員は「『隠れ名指し病院』で、救急など『急性期』医療の状況は同じ。老朽化した病院の建て替え、医師・看護師不足と課題が多い。定年を迎えた医師の再雇用や建て替え資金確保、病床稼働率アップに努力している」と話しました。
日本共産党の下奥奈歩前県議は「東栄町の東栄医療センター(旧東栄病院)の透析廃止問題を報告。「存続を求め5000人以上の署名を町長に提出した。県にも要請したが、地域医療を守る責任があるのに人ごと。医療や病院を守ることは、地域の雇用を守り、人口減少を食い止め、地域経済への寄与も大きい」と強調しました。
長尾実・全医労愛知地区協議会書記長が基調報告し、地域医療構想における病床再編・合理化について「地方自治の否定であり、補助金削減が狙われている」と批判しました。
長友薫輝・三重短期大学教授は「公立・公的病院を減らして、医療費が減るというデータはどこにもない。地方にとって何が大切か、しっかり論議して進めることが重要」と語りました。
小松民子・県社保協事務局長は「各地で『病院を守る会』などを結成し、連帯と共同の輪を広げ、運動を進めていこう」と呼びかけました。
■名指しされた病院
- 津島市民病院(津島市)
- あま市民病院(あま市)
- 木曽川市民病院(一宮市)
- 県心身障害者コロニー中央病院(春日井市)
- みよし市民病院(みよし市)
- 碧南市民病院(碧南市)
- 中日病院(名古屋市中区)
- 国立病院機構東名古屋病院(名古屋市名東区)
- ブラザー記念病院(名古屋市瑞穂区)
(12月19日 しんぶん赤旗)