愛知県保険医協会公害環境対策部会は14日、原発事故から8年半が経過した福島県の今を魚類や漁業の観点から学ぼうと名古屋市内で市民公開講座を開きました。65人が参加しました。
福島大学環境放射能研究所准教授の和田敏裕氏が「漁業と地域の復興に向けて」と題して講演しました。原発事故後の放射線量の推移や水産関連施設の復旧状況、放射性物質の検査体制など詳しく紹介し、「津波被害にあった漁港や市場の整備が進むなど、着実に前に進んでいる」と強調。放射性セシウムの汚染について、海水魚と淡水魚は体の仕組みが違うため、課題も異なるとしたうえで、「海産魚介類の汚染はほぼ収束し、沿岸漁業の試験操業は段階的に拡大している。しかし、漁獲量は震災前の15%にとどまっている」と話しました。
淡水魚については、阿武隈川のアユは国の基準値を下回り出荷制限が解除されたと報告。「海水・淡水で異なる様々な課題を克服し、福島県の漁業・水産業を復興させ、地域の活性化につなげたい」と語りました。
医師の土井敏彦部会長は「原発事故の食への影響は計り知れず、原発汚染水の海洋放出は大きな問題だ。全国の原発再稼働と同時に将来のことを考え合いたい」と話しました。
講演を聞いた男性(69)は、「放射能の影響はちゃんと聞かなければ誤解すると思い知った。海と川で影響が違うとは知らなかった。しっかりと学んでいきたい」と語りました。
(12月18日 しんぶん赤旗)