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名古屋 子育て施策点検 革新市政の会が市政ウォッチング

児童相談所の職員から説明をうける参加者(左側)=11日、名古屋市

 名古屋市の子育て施策はどうなっているの―。「革新市政の会」は11日、「市政ウオッチング」を実施し、市の児童相談所や「なごや子ども応援委員会」、市立保育園の職員などから仕事の内容や働き方の実態を聞き、問題点を話し合いました。23人が参加。日本共産党のさいとう愛子市議も参加しました。

 児童相談所は市内に3カ所あり、訪れたのは中川区にある西部児童相談所です。子どもの相談を家庭などから受け、子どもの福祉をはかるための援助を行う行政機関です。必要に応じて子どもを家庭から離す一時保護なども行っています。

 3カ所の児童相談所における虐待相談対応軒数は3394件(2018年度)で前年と比べ496件増加し、過去最多。一時保護件数も1063件で過去最多です。

 西部児童相談所の矢田富士夫所長が虐待の対応について、子どもの安全や事実の確認、再発防止に向けた支援を行っていると説明。相談件数の増加に伴い職員の超過勤務が増えていることなどを報告しました。

 11月に一時保護で発生した職員の暴力事件について「(少女2人を殴ったことは)けんかを止めるためとはいえ、安心・安全を守る保護所で許されない」として再発防止に努めると話しました。

■ 20年で相談14倍

 児童福祉司の女性は、全国の虐待相談件数がこの20年間で13・7倍に増加する一方、児童福祉司は2・8倍しか増えていないと告発。一時保護所の保育士の女性は、子どもの安全を確保し、関係機関と連携しながら支援の内容を決める保護所の役割を説明。保護所に入る子どもが増え、満床になっているとして、「子どもの負担が増えている」と訴えました。

 参加者から「一時保護所はどれくらい増やす必要があるのか」「警察からの(虐待の)相談が多いことに驚いた」などの質問や意見が出されました。

 参加者はその後、市役所に移動。中学校に常勤するスクールカウンセラーなどが問題の未然防止に取り組む「なごや子ども応援委員会」の担当者や保育行政の担当者から制度の説明を受けました。

 担当者は、市の虐待児童数が0人(4月1日現在)とされる一方、希望する保育施設に入れる利用を補充するなどした「待機児童」は929人で、前年比で96人増えていることなどを報告。参加者から「一人ひとりの条件に合わせて保育環境を整備すべきだ」などの意見が出されました。

 最後に、3コースに分かれて三つの市立保育園を見学。保育室や園庭、給食室、職員の事務所などを見て回り、園長と懇談しました。

 園長は「施設が老朽化して廊下の板が外れている」「地域の子育て支援や保育の質を高める役割が増える一方で職員の欠員も増えていて、必死でやりくりしている」「準備や記録など保育以外の作業を勤務時間内に保障しきれていない」「保育士不足が全国的にも広がっているので懸念している」などの実態を報告しました。

■ 根本に安倍政治

 参加者は、「保育士不足は深刻。一時的な預かり保育などの事業にも予算をつけるべきだと声をあげたい」などと話しました。

 初めて参加した東区の女性(68)は、「人手不足は学校や図書館でも起こっている。問題の根本に人権や福祉をないがしろにする安倍政治がある。子どもたちが安心して成長できる政策にお金をかけてほしい」と話しました。

 革新市政の会の津田康裕事務局長は、「現場の職員の話を聞き、実態がよくわかった。住民本位の市政に転換する政策作りに活かしていく。これからもさまざまな市政の現状を学習し、市政の課題が話題になるように努めたい」と話しました。

(12月14日 しんぶん赤旗)