老朽化した名古屋市の中村区役所が移転新築されるにあたって、住民から誰もが安心・安全に利用できるように、最寄の地下鉄駅から地下連絡通路をつくってほしい」との声が高まっています。14日には5235人の要請署名が提出されました。
現区役所は1964年に建築。市内16区で一番古く、老朽化が進んでいました。移転先は、北に約1㌔移動した旧市立本陣小学校(来年春に解体予定)跡で、2023年に移転する予定。新庁舎には保険センター、土木事務所、市税事務所との合同庁舎になります。
■ 車いすは遠回り
地下鉄の最寄り駅が、これまでの「中村区役所」駅から、「本陣」駅に代わります。新区役所に最も近い出入口にはエレベーターがなく、ベビーカーや車いす利用者は一番遠い出入口からう回しなければなりません。さらに幹線道路や六差路を横断する必要もあります。
区役所移転の話を聞いた区民有志は、昨年12月に「『新中村区役所』と跡地利用を考える会」を結成。これまで市に対し、▽住民説明会を引き続き開いて住民の要望を聞いてほしい▽本陣駅から地下通路を造ってほしい▽新庁舎玄関前の駐車スペースの確保▽交通渋滞の対策―などを求めてきました。
さらに今年8月から、「新庁舎と本陣駅を地下連絡通路で結ぶ」署名を開始。14日に5235人分の署名を市民経済局区政課職員に手渡しました。さいとう愛子日本共産党市議が同席しました。
■ 声直接届け変化
渥美敦子代表は「多くの区民から要望が寄せられている。ぜひ検討してほしい」と強調。職員は「移転先の地下周辺には巨大な排水管が通っている。騒音や地権者の対応などを踏まえて、地上、地下、高架などあらゆるルートで検討している」と答えました。
要請に参加した住民は「合同庁舎で職員が500人規模になり」来庁者も増える。周辺の道路は複雑な構造をしており、渋滞が予想される」と指摘。署名を集めた女性は「エレベーターがある出入口から区役所までは、歩道がせまく、ベビーカーでは不安だとお母さんたちから要望が強くあった。切実な声を受け止めてほしい」と求めました。職員は「改善、対策は必要だと感じているが、内容は検討中。役所が勝手に進めることがないよう、情報を開示しながらすすめたい」と回答しました。
最後に渥美代表は、「住民の声を直接届けることで少しずつ変わってきていると思う。説明会だけでは住民は納得できない部分が多く、会として今後も話し合いを求めたい」と話しました。
さいとう議員は「将来に向けて、住民の参加と合意を得て具体化を進めてほしい」と語りました。
(11月16日 しんぶん赤旗)