国際芸術祭・あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」の中止をめぐり、名古屋市で開催中の国際フォーラムは6日、作家やキュレーター(展示企画者)がそれぞれの立場から検閲や作品への攻撃に対抗する思いを語りました。
作家の碓井ゆいさんは、「慰安婦」を象徴する「平和の少女像」への抗議にジェンダー視点から反論する声明を作った思いを訴え。「今回の攻撃は、被害者や同様の属性の人に現在も向けられているもので、それを批判しないことは過去に暴力を与えた構造を維持し、差別に加担することだ」と話しました。
作家の高山明さんは再開に向けてアーティストが立ち上げた「Re Freedom Aichi」が不自由展の再開を求める声を可視化するプロジェクトや中止に抗議する声明、表現の自由に関する「あいち宣言」などに取り組んでいると紹介。作品について作家が電話で声を受け止める「Jアートコールセンター」の開始を報告し「新しい対話の可能性が開いていくといい」と話しました。
キュレーターのペドロ・レイエスさんは、「展示の中止は非常に悲しいが、作家の新しい動きが起こっていることを見ることは嬉しかった」と話しました。
林道郎上智大教授は、文化庁の補助金不交付決定について、「あってはならないことが起こった。研究の現場も表現の現場も委縮せざるをえない。色んなところで声を上げていく」と話しました。
津田大介芸術監督は、中止された不自由展について「不自由展実行委と芸術祭実行委の合意ができれば8日から再開される。展示を再開して(ボイコットしている)全ての作家に戻ってきてもらいたい。協議がうまくいくことを祈る」と話しました。
(10月7日 しんぶん赤旗)