愛知県で開催中の国際芸術祭・あいちトリエンナーレ2019の実行委員会と県の検討委員会は5日、名古屋市で国際フォーラムを開きました。6日までの日程。14日の会期末までに表現の自由の保障に関する「あいち宣言」の採択をめざすことを発表しました。
宣言案は、芸術家の権利や行政の責務を定め、「自主規制・検閲のない自立した芸術の場を発展させてゆくことを、世界中そして未来に向けて宣言します」などとしています。
フォーラムであいさつした芸術祭実行委員会会長の大村秀章愛知県知事は、「慰安婦」を象徴する平和の少女像などに抗議が集中し、開幕から3日で中止された企画展「表現の不自由展・その後」の再開に向けて協議していると報告しましたが、時期は明言しませんでした。
フォーラムでは「『情の時代』における表現の自由と芸術」をテーマに作家やキュレーター(展示企画者)、研究者らが議論しました。
録画出演した曽我部真裕京大大学院教授は、「多数派の道徳観や常識に反するという意味でショックを与える程度の理由で表現の自由を制限することは、表現の自由の根本理念に反する」と指摘。横大道聡慶應義塾大大学院教授は、「場所を貸さない、援助しない、などの形で不人気な表現が流通する機会を奪っていくのが現代型の表現の自由の問題だ」と話しました。
津田大介芸術監督は、SNS時代に表現の自由を守る難しさを訴え。「少女像」をつくったキム・ウンソンさんは「SNSだけでなく(権力者に)不都合な事実であることが問題だ」と指摘。他の作家らが表現の自由を守る連帯の重要性を強調しました。
(10月6日 しんぶん赤旗)