国際芸術祭・あいちトリエンナーレ2019で中止された企画展「表現の不自由展・その後」をめぐり、不自由展の実行委員会が展示再開を求めた仮処分の3回目の審尋が30日、名古屋地裁で開かれ、10月6~8日の再開を前提に協議することで和解しました。
和解において芸術祭実行委は再開時期に加えて、①再開に当たっては犯罪や混乱を誘発しないよう双方協力し、会場などの警備に警察の協力を得て、万全の態勢で挑む②入場は事前予約の整理券方式とする③開会時の(展示内容を決めて提示する)キュレーションと一貫性を保持する④中間報告の位置づけと内容を来場者にあらかじめ伝達する―ことを不自由展実行委に申し入れ、不自由展側がこれを受け入れる形で合意しました。
展示室内での作品の位置と方法の改善は、不自由展実行委と作家の了解を得て個別に協議していきます。和解を受けて、仮処分の申し立ては取り下げられます。
名古屋市内で会見した不自由展側代理人の中谷雄二弁護士は、「申し立ての要求が通った内容で合意できたことは高く評価できる」と強調しました。
不自由展実行委員会の岡本有佳氏は、「再開合意で和解できたことを大変うれしく思う。開会時のキュレーションと一貫性を持たせることも担保できている。具体的内容を誠実に協議していく」と話しました。
アライ=ヒロユキ氏は、文化庁の補助金不交付が検閲にあたると批判し、「今回の勝利が日本社会をおおっている検閲という空気をはねのける最初の大きな一歩になる」と語りました。小倉利丸氏は、「全国のみなさんが署名や宣伝などで『暴力に屈しない』というメッセージを発信してくれたことが県を動かしたし、私たちも励まされた」と述べました。
(10月1日 しんぶん赤旗)