伊勢湾台風から60年。災害の恐ろしさや命を守るためにどうすればいいのか考え合うシンポジウム(国土交通省中部整備局主催)が21日、名古屋市昭和区で開かれました。
伊勢湾台風は、1959年9月26日午後6時ごろ猛烈な勢力を維持したまま和歌山県に上陸。東海地方を中心に、犠牲者(死者・行方不明者)は5098人(うち名古屋市民1909人)、流失全半壊した家屋は役16万戸に及ぶなど甚大な被害を及ぼしました。
当時、木材輸入が盛んだった名古屋港では、観測資料最大の3・89㍍の高潮が発生。海抜0メートル地帯が広がる周辺市街地に木材が流失し家屋を破壊。名古屋市内の犠牲者のうち南区で約7割を占めました。この教訓から、貯水場は市街西部に移転されました。
阪神淡路大震災の経験から防災・減殺の啓蒙(けいもう)活動をしている高嶋哲夫氏が基調講演し、「災害が起きた時は、とにかく何が何でも命を守ることが大事」と強調しました。
高嶋氏は技術の進歩によって、台風の強さや進路などが正確になってきたことをあげ、「予測ができない自身とは違う。その気になれば、被害は最小限に抑えられる」と指摘。「批判所やルートの安全確認など日常的にやってほしい」と述べ、「災害が発生した時、どこで、誰が、何をすればいいのか、地域にあった具体的な計画を決めておく必要がある」と語りました。
災害派遣車両の展示や最大120㍉㍍の豪雨体験、VR(仮想現実)ゴーグルで洪水の避難体験ができるコーナーが設置され、行列ができました。
(9月29日 しんぶん赤旗)