名古屋市内で13日夜、緊急シンポジウム「『表現の不自由展・その後』と歴史の真実」(革新・愛知の会、革新名古屋北の会、西区革新懇が開かれ、役200人が参加しました。中区革新懇の主催)。登壇した写真家の安世鴻(アン・セホン)さん、愛知県平和委員会の高橋信理事長、日本共産党の本村伸子衆院議員の発言を紹介します。
作家としてくやしい 韓国の写真家・安世鴻さん
韓国の写真家・安氏は、通訳を通して思いを語りました。
安氏は、2012年に予定されていた東京のニコンサロンでの「慰安婦」の写真展が一方的な中止通告を受けたものの、仮処分を申し立てて開催を実現させてきたことを紹介。今回の展示中止が二回目だとして、「日本での表現は非常に制限的だ。政治家や右翼が自分の考えと違ったら非常識な方法を使ってでも展示を中止させるのはまともな社会ではない」と指摘しました。
また、主催者からは中止になった理由の説明もなく「作家としてとても悔しかった」と強調。「脅迫で展示が中止されるならこれから誰が表現をするのか。作家は表現の場を得るために自らの作品を検閲し、自粛する社会になると思う。大村(秀章)知事(トリエンナーレ実行委員会会長)は自由で安心して観覧できる場を市民のもとに返してほしい」と話しました。
根底に歴史修正主義 愛知県平和委員会理事長 高橋信さん
高橋氏は、企画展が中止に追い込まれた根底に、「あったこと」を「なかったこと」にし、自分好みに歴史を作り変える「歴史改ざん主義」「歴史修正主義」があると指摘しました。
朝鮮から日本企業に強制動員された被害者をめぐって「徴用工ではなく朝鮮半島出身の労働者」などのうその解釈を繰り返す安倍内閣とそれを垂れ流すマスメディアを批判しました。
被害者個人の請求権が消滅していないことは政府も否定していないと指摘。「被害者が救済を求め続けるのは当然だ。真の解決に向けて歴史修正主義を許さず事実を認定し、次世代に継承することが必要です。各地の碑をなくさず、教科書にもきちんと記述すべきです。若者に過去責任はないが、いま知る責任はある。将来問題を解決する責任はあります」と話しました。
暗黒の時代に戻さぬ 日本共産党衆院議員 本村伸子さん
本村氏は日本共産党や自民党の国会議員も参加し、超党派でつくる日韓・韓日議員連盟合同総会の「慰安婦問題に関し、被害当事者たちの名誉と尊厳が回復され、心の傷が癒されるように両国政府はともに努力することを確認した」(2017年12月11日)という共同声明を紹介しました。
「慰安婦」問題の解決を目指してつくられた「平和の碑」(少女像)への思いを語り、「被害者を何度も傷つける状況を、みんなの力で変えていきたい」と話しました。
日本政府の公式な立場は、慰安婦募集などでの強制性を認め、おわびと反省を表明した河野談話(1993年)に示され安倍首相も「見直すことは考えていません」と答弁していると指摘。「暴力で支配されて表現の自由がなかった暗黒の戦争の時代に戻さないためにともに頑張りたい」と話しました。
(9月18日 しんぶん赤旗)