日本共産党愛知県委員会は、次の声明を発表しました。
3年に一度の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」が1日より開催されています。その企画である「表現の不自由展・その後」展で、展示されている韓国人作家制作の「平和の少女像」について、旧日本軍の慰安婦を象徴した少女像であることから、多数の抗議の電話やメールが寄せられ、2日には、名古屋市の河村たかし市長が会場を視察したうえで、「日本の国民の心を踏みにじるもの」と批判し、トリエンナーレ実行委員会会長の大村秀章・愛知県知事あてに少女像などの撤去を求める要請書を提出しました。これを受け、トリエンナーレ芸術監督の津田大介氏が2日夕に記者会見し、「来場者および職員の安全が危ぶまれる状況が改善されないようであれば、企画自体の変更を含めた何らかの対処を行う」としています。
しかし、憲法21条は「一切の表現の自由は、これを保障する。検閲はこれをしてはならない」としており、芸術作品の展示の内容に、権力者の側が不当な制限や圧力を加え、自らの意に背くものには、展示をゆるさないという態度は、憲法21条が示した、表現の自由を侵すもので断じて許されません。また、憲法99条は、公務員が憲法を尊重し、擁護する義務を負うとしており、この点でも、河村名古屋市長の態度は問題です。
さらに、マスコミの報道では、日本維新の会の松井代表(大阪市長)が、河村市長に問題提起をしたとか、菅官房長官が、トリエンナーレを巡る国の補助金交付について、慎重に検討する考えを示したことが報じられていますが、税金が投入されているとの理由で公権力が問題視することは、公権力の意見や見解に沿わない美術活動には税金投入しないとなり、まさに、憲法21条が禁じた芸術活動への検閲行為に等しいものです。
そもそも展示内容については、計画段階で大村知事や会場の県美術館に趣旨を説明し、大村知事も「文化事業について政治家、あるいは実行委員長が内容に口を出すことはこのましくない」と述べていたものです。
企画側が懸念するように、来場者や職員の安全が危惧されるのであれば、企画の安全性を保持するために行政はさらなる努力をし、芸術表現の自由を守るべきと考えます。
最後に、日本軍「慰安婦」問題についていえば、日本共産党は女性の人間としての尊厳を踏みにじった行為であり、この歴史の事実に対して、「性奴隷制」の加害の事実を認め、被害者への謝罪と賠償の責任を日本は果たすべきと考えています。
以上