愛知県高等学校教職員組合(愛高教)は12日、名古屋市内で記者会見し、県立高校の実態を分析した『2018愛知の高校教育白書』を発表しました。
愛知県内すべての県立高校を対象にアンケートを配布し、生徒や保護者、教職員・学校から約2400の回答が寄せられ分析したもの。1998年、2007年につづき、3回目の発行です。
会見した平岩浩幸副執行委員長は、「いま学校はどういう場所になっているのか、生徒や保護者は学校に何を求めているのか、このアンケート結果を学校づくりに生かしてもらいたい」と述べました。
■ 拘束時間長く
今回の特徴では「進学補習や部活動などで、高校生も教職員も、学校に拘束される時間が長くなっている。高校生の学校設備に対する不満は大きく、トイレに対する不満は傑出している」と報告。「教育に対する国の管理・統制がすすみ、愛知でも高校間の序列化が進み、一部のエリート校だけに教育予算を配分している面があるのではないか」と危惧しました。
高校生の回答は1567人。学校設備に対する不満で一番多かったのが「トイレ」で、42・5%の生徒が指摘しました。「空調」は18・4%でした。「部活動に対する不満や要望」があると答えた生徒は6割に達し、「土曜、日曜の練習が多い」「施設や設備が貧弱」といった理由が中心でした。
平岩氏は、「土日の過ごし方は、多くの生徒が部活動と答え、上位校・中位校では5割を超え、下位校などでは3割にとどまり、開きがあった」と指摘しました。
補習に関する不満では、約半数が「早朝補習がつらい」と答え、「強制的に参加させられる」という回答も3割程度ありました。
■ 教職員も多忙
教職員では、気分が重くなる原因で一番多かったのは「多忙」42・4%でした。部活動に対しても8割以上が不満や要望があると回答し、生徒と同様に「土曜、日曜の練習が多い」でした。加えて、3分の2の教職員が補習に不満や要望を持っており、その理由は約半数が「早朝補習は負担が大きい」でした。
平岩氏は、「職員会議が話し合いの場でなく報告の場となり、画一的なやり方が多くなっている。実績の見える部活動や大学進学などに過度に時間をかけすぎる傾向が強い。それが多忙化の原因ともいえる」と話しました。
白書作成に携わった名古屋大学大学院教育発達科学研究科長の植田健男教授は「社会状況、経済状況が厳しくなり、学校が競争的な方向に向かっているように思われる。保護者の中にも競争を求める面がある。公教育の崩壊が徐々に始まっているのではないか」と指摘しました。
白書の問い合わせ先=愛高教052(261)8155
(2月15日 しんぶん赤旗)