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最賃898円で暮らせない! 愛労連がスタート集会 1000円以上いますぐに

全国一律時給1000円以上の最低賃金を求め開かれた集会=6日、名古屋市熱田区

 「最低賃金の生活って? 体験してみよう」―。愛知県で青年労働者が1カ月間(10日~3月9日)、最低賃金生活体験にチャレンジします。愛知県労働組合総連合(愛労連)が6日、名古屋市内で参加者を激励する最賃体験スタート集会を開きました。

■〝苦戦〟の体験交流

 愛労連は20年以上前から、最賃生活体験に取り組み、ここ数年は青年を中心に100人以上が挑戦。青年労働者が最賃闘争の重要さを知るきっかけとなっています。

 愛知県の最低賃金は898円。1日8時間、22日間働くと月額15万8048円。そこから保険料や税金を引いた手取り12万7千円余で生活します。「わたしの家計簿」をつけ、体験後に提出します。

 集会では昨年(最賃時給871円)の体験者が報告しました。100人以上が挑戦し、家計簿を提出した56人中、達成は9人でした。

 毎年参加している学童保育指導員の男性は「冠婚葬祭など社会的な交際費が大変。葬儀があると予算オーバー。食費節約のため、安いカップめんなどインスタント食品を多く食べた。最賃生活を長年続けている非正規雇用の人たちの健康が心配になった」。教員の男性は「昼食弁当のご飯を持ちかえって夕食で食べた。理髪店に行かず髪は自分で切った。1カ月だから我慢できたが長期だと無理」と話しました。

 「体験後のリバンウンドは」―。「アトピーの持病があり、体験中は医療費節約で病院に行かなかったら、悪化していた」「体験中はタバコ代節約で喫煙を節制したが、体験後は反動で喫煙量が大幅に増えた」、「好きな映画を見るのを我慢し、食事を切り詰めた。体験後は映画三昧。食べ放題の店でバリバリ食べた」。

 交流会も開かれ、「衣食住だけなら最賃以内で収まったが、奨学金の返済分だけ予算をオーバーした。返済免除制度や給付型奨学金を拡大しないと最賃では暮らせない」、「ガソリン代など車にかかった費用2万円が最賃よりオーバーした。公共交通が少ない地方では車は必需品。地方では最賃での生活は厳しい」、「独身で男だから達成できた。教育費などがかかる子育て世代は絶対に無理。最賃引き上げとともに、教育費無償化など子育て支援策の充実が必要」などの意見が出されました。今年初挑戦する男性が「食事や健康に気をつけてがんばります」と語りました。

 愛労連の谷藤賢治副議長は「欧米各国の時給は千円以上。アジアでも台湾、韓国の時給は日本より高い。体験者の報告でも最賃では生活できないことが分かった。最低賃金の全国一律1000円以上、今年の春闘での大幅賃上げへ運動を広げよう」と呼びかけました。

(2月9日 しんぶん赤旗)