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小牧・巨額ハコモノづくり推進 ムダやめ市民のための図書館を

市の第三セクターが運営する総合商業施設ラピオビル=愛知県小牧市

 愛知県小牧市の「ツタヤ図書館」計画が住民投票で否決されてから3年。市は、約50億円もかけた新図書館建設を進め、さらに約21億円の「こども未来館」建設まで計画しています。住民は「巨額の税金を使ったハコモノはやめ、住民の声を聞き市民が利用しやすい市民のための図書館を」と運動を続けています。

 

 「住民投票で示された住民の声をまったく無視した計画がどんどん進められている」。住民投票を呼びかけた「小牧の図書館を考える会」の渡辺育代共同代表(67)は憤ります。

 小牧市では、2015年にレンタル大手TSUTAYAの親会社が運営する「ツタヤ図書館」計画を住民投票で否決。その後、市は新市立図書館建設審議会を設置し新しい図書館のあり方を白紙から議論してきました。

 昨年2月には市長へ答申を出し、管理運営は「市が主体的に運営すること」と明記。建設方針・建設場所については、複数意見が併記され、広く市民の意見を聞き計画を進めるようにと書かれました。

 ところが市は市民の声も聞かず小牧駅西のA街区に新築する方針を発表。現在、設計を進めています。建設事業費は約50億円に膨れ上がっています。

 

既存施設を使って

 図書館を考える会は、「既存の図書館の改修と、空床ができた市の第三セクターが運営する『ラピオビル』を活用すれば、税金を無駄遣いせず早く安く立派な図書館ができる」と署名運動を展開。1万人分の署名を届けてきましたが、山下史守朗市長は聞く耳を持ちません。

 さらに、市はラピオの空床に市民のニーズもない「こども未来館」をつくると突如発表。現在ある児童センターの20倍の8000平方㍍の規模で、吹き抜けの大型遊具を導入した巨大施設を約21億円もかけてつくろうとしています。

 市民にとっては、市の総合計画にもない「寝耳に水」の計画。市が実施したパブリックコメントでは、69件すべてが反対や疑問、見直しを求めるものでした。「新図書館をラピオに入れたくないから、つけ焼き刃的に子ども未来館を導入するのでは」の声も。

 市は新図書館をラピオに整備した場合の整備費は16億1千万円だと議会で答弁しています。「それなら、ラピオに図書館をいれるのが一番」と図書館を考える会の郷治裕子さん(65)は話します。パブリックコメントにも、未来館をやめて「ラピオに新図書館をつくれば50億円以上の節約」の意見が寄せられ、ラピオに買い物に来ていたパートの女性(40)も「無駄遣いしなくてもラピオや本館の改修ですむなら、その方がいい」と語ります。

 

随意契約に疑問

 しかも、市が未来館の基本構想、基本設計、実施設計のすべてを各地でツタヤ図書館を設計している「株式会社アール・アイ・エー」と随意契約したことに市民から疑問が出ています。7月には「随意契約で高額な契約になり市民に損害を与えた」などとする2件の住民監査請求が出されました。

 日本共産党も議会で追及。新図書館はラピオと本館を活用し、未来館は大型遊具施設ではなく子育て世代包括支援センターなどを縮小整備することを提案しています。

 図書館を考える会の渡辺代表は「住民投票をしても請願署名をしても、まったく市民の声を聞いてもらえなかった。もう、市長をかえるしかない」と言います。図書館を考える会のメンバーは今、幅広い市民でつくる「小牧市政をかえる会」に参加し、来年2月の市長選で新しい市長を誕生させようと新たな運動を進めています。

(8月30日 しんぶん赤旗)