愛知県内で子ども食堂の輪を広げ、交流しようと「あいち子ども食堂ネットワーク」が設立されて1年。県内の子ども食堂は倍加し、ネットワークの会員登録も発足時の20団体から47団体にまで増えています。
同ネットワークは23日、名古屋市内で第2回総会を開催。子ども食堂を運営する個人や団体、支援者ら約300人が参加し、1年間の活動を振り返り交流しました。
県内では2015年に子ども食堂が誕生し、行政も含め正確な数は掌握されていませんが、ネットやマスコミ報道などで確認すると、結成時の40以上から、現在は100近くになっています。
■ 今後の課題も
総会で、事務局長の成元哲(ソン・ウォンチョル)中京大学教授が1年間の取り組みを報告しました。昨年9月に県内4ブロックで連続学習・交流会を開催し、出された要望をまとめ、愛知県と名古屋市に要請しました。新規開設や物品支援の相談・問い合わせが増えています。今後は「安心・安全な運営を継続できるよう、危機管理や食品衛生の管理などの学習会も行いたい」と述べました。
昨年8月に開いた、笑顔(えがお)いっぱい子ども食堂(名古屋市港区)の代表は、交流分科会で経験を報告。区役所との相談、保健所への申請、小学校へのチラシ配布など「初めてのことばかりで大変でしが、スタッフの得意分野を生かした役割分担でうまくいきました。子どもだけでなくお年寄りまで世代を超えて参加し、楽しく交流しています」と話しました。
一方で閉じる食堂も出ています。成事務局長は、会員の一つが食堂を閉鎖し脱退したことを報告。やめた理由は調理場、食事場所、調理器具や食器の保管場所の確保場所ができず、財政面の不安、ボランティア不足などもありました。「行政による公的支援、公共施設の無料貸し出しなど検討する課題は多い」と語りました。
■ 地元に依拠し
共同代表の杉崎伊津子さん(わいわい子ども食堂運営)は「一団体の取り組みにしないで協働が大切。地元の人に依拠することです」と強調します。
ほんわか食堂(名古屋市南区)の代表は「昨年の夏休みから無料塾を始め、今は月2回開いています。医療法人が運営しているので発達障害のある子どもの対応、経済的困窮家庭の無料低額診療もおこなっている」と多彩な活動を紹介。
行政への要請も強め、愛知県や名古屋市も子ども食堂への支援に取り組み始めました。県は今年度から子ども食堂のモデル事業を実施。総会に参加した県の担当職員は「12月までモデル事業を実施。効果や課題を検討し、2022年までに県内200カ所をめざす。既存の子ども食堂への支援も検討する」と話しました。
総会では、童話作家の藤真知子さんの絵本50冊の贈呈式や藤さん自身によるマジックショー。中村強士・日本福祉大学准教授が県の実施した「子ども調査」の報告もしました。
(6月30日 しんぶん赤旗)