「入った会社がブラックだったら?」「奨学金が返せなくなるかも…」。名古屋市で22日、大学生が抱えるブラックバイトやブラック企業への不安や悩みに応える学習会が行われ、学生ら約50人が参加しました。
主催は、私立大学への国庫助成や奨学金の拡充を求める署名や国会請願を行う「東海地区私大国庫助成推進協議会」。毎年、所属する教員らが学生によびかけて学習会を行い、今回初めてブラックバイトを取り上げました。
事務局長の五十畑浩平・名城大学准教授があいさつし、「ブラックな働き方とはそもそもどんなものなのか。バイトや企業の具体例を交えながら、巻き込まれたときの対処法を考えよう」と述べました。
■ 店長の圧力〝ハンパない〟
講師はNPO法人「POSSE」事務局長で、ブラックバイトユニオン代表の渡辺寛人氏。ユニオンに寄せられた相談例などを紹介し、ブラック企業の実態や社会背景、ブラック企業の見分け方、対処法などを説明します。
参加した学生は、スマホを使い、「匿名で講師の質問に答えたり、疑問を投げかけたりできます。
渡辺氏は、ブラックバイトの定義を「試験や抗議があっても、お構いなしにシフトを入れる。学生であることが尊重されないバイト」と説明。相談事例では「辞められない」が一番多く、「なぜ辞めやれないのか」と学生に質問。
学生らはスマホで「店長の圧力ハンパない」「バイトしないと大学に通えない」「辞めると今まで使った道具代を請求される」など答えます。
「労働組合へのイメージ」を聞かれた学生らは「会社と対立している」「なくてはならないもの」との一方、「会社の一部かな」「あるだけで何もしない」などの回答も。
渡辺氏は、誰でも自由に労働組合をつくることができ、使用者と団体交渉ができることをせつめい。「最低限の法律を守れというのは労働者の願い。バイトでも労働組合に入ることはできる」と強調し、「働くうえで、会社の言うことがすべてじゃない・あきらめない、自分を責めない、身を守るために証拠や記録を取ることが大事」とエールを送りました。
■ 講演聞き「行動したい」
参加した大学4年の男性は「卒論のテーマにブラックバイトを選んでいます。学生にとって非常に身近な問題なのに、漠然としかわからなかった。今日参加して、本以上に現場の実態が知れてよかった」。大学4年の女性は「バイトの時給は15分単位で、労働契約書もなかった。違法ってわかってもなかなか動けない。講演を聞いて、行動したくなった」。社会人3年目の女性は「労働組合がある職場を選びました。
仕事が忙しすぎて、組合活動できないのが不満です」など感想が出されました。
(6月29日 しんぶん赤旗)