「JR東海はリニア中央新幹線の公示を注視せよ」―。大手ゼネコン4社が談合で起訴され、真実が明らかにならないまま、リニア新幹線工事が続けられています。名古屋駅前で9日、建設工事に反対する市民ら20人が怒りの声を上げました。
「怒りの宣伝」を呼び掛けたのは、「リニアを考える愛知連絡会」と「リニアを党愛知市民ネット」。工事の中止を求める横断幕やステッカーなどを掲げ、通行人にアピール。工事中止を求めるビラを配り、シニア新幹線訴訟の正式な審理を求める署名も呼びかけました。
愛知連絡会の川本正彦代表はマイクをもち、「南アルプストンネルの長野県大鹿村の工事現場では行き場のない工事土砂が山積みされ、岐阜県瑞浪市の日吉トンネル工事土砂からヒ素・フッ素が検出されている」「ウラン含有土砂が採掘されると、ラドンガスで周辺が汚染される懸念がある」とリニア工事の環境破壊のすさまじさを告発。さらに、「リニア新幹線は本当に必要か」と問いかけ、「開業の2027年ごろには少子高齢化で人口が減少し、東京―名古屋間を40分で急ぐ利用者は限られる。9兆円を超える巨大事業が失敗すれば、国民にツケが回ってくるのは必至だ」と強調しました。
愛知市民ネットの小林收代表は、JR東海が地下40㍍以深の大深度地下の使用の認可申請を行ったことを批判。大深度法の前提は「公共の利益となる事業」であり、JR東海がリニア事業を「民間企業で進める」としているのだから、「大深度地下使用の精神に反する」と指摘。「公共の利益となる事業」であるならば、契約情報など公開すべきだと求めました。
大深度法が適用されたら、地価の地権者の了解なく工事が進められるため、住民から不安の声が出ています。
JR東海は10日~18日、愛知県内で5回の説明会を開きます。小林氏は「説明会は先に工事ありきで行われようとしている。ぜひ説明会に参加してリニアへの疑問を積極的に発言してほしい」と呼びかけました。
日本共産党の青木ともこ市議も参加し、「ゼネコンの談合が発覚しても、業者が指名停止になっても工事が進められている。工事ありき、住民無視の態度に納得できないという怒りの声を上げていきたい」と訴えました。
署名に応じた一宮市の女性(61)は、「リニアができても乗りたいとは思わない。普通の人は乗らないのでは。それに、トンネル内で事故が起きたらどうするのか。何かあった時にこわい」と話していました。
(5月11日 しんぶん赤旗)