「看護職員は自分の健康をすり減らしながら、患者の命を守っています」―。愛知県内の看護職員の労働実態調査で7割が「辞めたい」と答え、長時間過密労働で健康を害しながら働かざるをえない実態が明らかになりました。愛知県医療介護福祉労働組合連合会(渡邉一執行委員長)が23日、県庁で調査結果を発表し、現場で働く看護師が実態報告しました。
同団体は、県内の医療・介護・福祉労働者1万2000人以上が加盟する団体。調査は昨年5月~7月にかけて、日本医労連が全国一斉に行ったもの。県内19病院3919人の看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師)の回答をまとめました。
アンケートは、雇用や勤務の形態、仕事量、不払い労働や時間外労働、休憩時間、仕事の不満や悩み、常用している薬、患者への対応、やりがい、夜勤回数、ハラスメントなど多岐にわたります。
「仕事を辞めたいと思うこと」との問いに、「いつも思う」「ときどき思う」を合わせて73・7%が回答。「思わない」と答えたのは18・3%でした。
「辞めたい理由」は、「人手不足で仕事がきつい」が49・7%でもっとも多く、「休暇がとれない」「賃金が安い」「夜勤がつらい」と続きます。時間外労働時間が多いほど、「辞めたい」と答える割合が高くなる相関関係も見られました。
人手不足や長時間労働が原因で、医療ミスやニアミスの経験が「ある」と答えた人は85・3%。多くの人が医療ミスの不安を抱えています。
女性が多い職場にも関わらず、母性が危険にさらされていることも明らかになりました。妊娠しても人手が確保できず「夜勤免除」が48・8%にとどまり、3割が「切迫流産」状態になったと答えました。調査のたびに悪化の一途をたどっています。
会見で豊橋市の看護師・中川智晴さん(39)は「夜勤が多い人では月10回以上で、仮眠もとれないまま、長時間仕事している。圧倒的な人手不足を解消しようにも、病院は診療報酬に人件費を上乗せできないので、制度を変えなければいけない」と話しました。名古屋市北区の看護師・池田幹人さん(29)は、県の看護師修学貸付制度の廃止方針を批判。「廃止ではなく『拡充』し、抜本的な確保対策をしてほしい」と語りました。
林信悟書記長は「過酷な勤務、長時間労働は医療ミスを犯しかねない状況をつくり、患者の命に直結する深刻な問題。国には国際基準に照らした看護労働の改善を求めたい。過労死を出さない労働時間の上限規制や夜勤労働の制限など、看護職員が健康で働き続けられるための働き方改革を求める」と訴えました。
(4月25日 しんぶん赤旗)