今年6月に結成された「あいち子ども食堂ネットワーク」は11月25日、名古屋市内で学習交流会を開き、愛知県内の子ども食堂運営者や支援団体、ボランティアら70人が子どもの食生活や運営の課題など語りあいました。
県内の子ども食堂は、この2年間で急速に増え、地域の中に定着しつつあります。行政も含め正確な数が掌握されていませんが、インターネットやマスコミ報道を通じて同ネット結成時で約40カ所、その後も増え、60カ所近くが確認されています。
県・市に支援要請
同ネットは、結成から半年間、県内4カ所で学習交流会を開くとともに、愛知県や名古屋市に対し予算措置を含め支援要請をおこなってきた。
ネット共同代表で、わいわい子ども食堂(名古屋市北区)を運営する杉崎伊津子さんが開会あいさつし、「今も運営資金やボランティアの確保、学校や地域との連携など、運営に様々な課題を抱えている。子ども食堂が家庭や学校に次ぐ『第三の居場所』として地域社会に根付くよう、交流し取り組みを広げよう」と話しました。
村山伸子・新潟県立大学教授が「現代日本における子どもの食格差の現状と課題」と題して講演。村山氏は「所得の少ない世帯の子どもの食事がご飯やパンなど主食だけに偏り、魚肉や野菜など副食不足にある」と指摘し、「子ども食堂は子どもが健康的なバランスある食事が体験できる。子どもの食を入り口に、保護者への社会的支援、就労支援につなげるよう、国、自治体、地域の連携が必要」と強調しました。
学校とつながった
活動交流では、名南会ほんわか食堂(名古屋市南区)の代表が、9月に2回の学習交流会を開いたことを報告。「1回目は名古屋市職員を講師に食品衛生について、2回目は子どもの人権について学習した。困りごとでは、食材や資金面の調達の不安、継続できるか不安などがあげられた。嬉しかったことは『子どもが嫌いな野菜を食べられるようになり感激』。『学校に案内チラシを掲示してもらえるなど学校と繋がりができた』などの報告があった」。
長久手子ども食堂(長久手市)の世話人は食物アレルギー対策の取り組みを紹介。こども食堂わいわいのわみ(一宮市)の代表は尾張地域の交流会について、「小牧、春日井、稲沢の各市で次々と開設され、近く大口町でも開かれる」と報告。昨年12月から運営を始めたマンナMANNA子ども食堂(名古屋市西区)は設立の苦労や献立の工夫、安全な食事を提供する取り組みなどを語りました。
「無料塾」定期的に
ネット事務局長の成元哲(ソン・ウォンチョル)中京大学教授のゼミ生で子ども食堂にボランティアとして参加している女子学生が報告。「食事を提供するだけでなく、大人を含め異年齢の交流の場、子どもの居場所になっている」、「ボランティアを続ける中で、学習支援が必要と思い、夏休みの宿題を食事後に手伝った。夏休み後も続けたいと話し合い、『無料塾』として定期開催になりボランティアで小・中学生に勉強を教えている」と話しました。
(12月1日 しんぶん赤旗)