反貧困ネットワークあいちは26日、2015年4月に施行された生活困窮者自立支援法の現状と課題を問うシンポジウムを名古屋市内で開きました。貧困問題や社会保障充実に取り組む団体や弁護士、学者、市民ら70人が参加しました。
同支援法は、生活保護利用の手前の制度と位置づけられ、生活困窮者へのサポートが可能となる一方、自治体窓口で「働け」など不適切な対応が発生し、生活保護受給抑制のための『水際作戦』の事例も起こっています。
主催者あいさつで柘植直也弁護士(反貧困ネットワークあいち幹事)は「同支援法は施行3年後に見直すことになっていて、来年の通常国会に改正案が提出される。各分野、地域の取り組みを交流し、貧困問題の解決へ運動を広げよう」と訴えました。
舟木浩弁護士(日弁連貧困問題対策本部)が支援事業実施率の自治体によるバラツキ、行政、弁護士会や司法書士会との連携強化、子どもの学習支援の体制整備など見直すべき課題を指摘。山田壮志郎・日本福祉大学准教授は、生活困窮者自立支援事業に関する自治体アンケートの集計結果を報告。大熊宗麿・名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター名駅センター長が相談や支援の実態、相談事例を報告しました。
参加者から「家の取り壊し、家賃の滞納による高齢者の転居問題は大変。生活再建には住居が欠かせないが、単身高齢者の入居は連帯保証人確保や健康問題など入居条件が厳しい」、「世話をしていた親の死亡などによって、40、50歳代の長期の引きこもりやメンタル疾患の人の相談が急増している。労働経験がなく直ぐの就労は無理。当面は生活保護で対応するしかない」などの意見が出されました。
(11月29日 しんぶん赤旗)